岩陶鉢 X 「ロゲルシー」、「桜吹雪」

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岩のような陶器鉢を作ってみた。なかなか面白い陶肌かもしれない。こんな実際にありそうな塊ではなく、少し非現実的な人工的な形にしてみても面白いかもしれない。

 

 

どうやら大鉢にあれこれ詰め込んだ寄せ植えというやつが好きになれない。多肉植物は同一種が群生はするが、何十種類が混成はしない。だからその非現実を楽しむものかもしれないが、目立たない品種、埋もれる品種が出てきてしまい、すっきりとしないように思う。重ならない距離で植えるのが好みだ。

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少しばかり岩に活着しているようにも見える。

 

上部がクラッスラ属の「ロゲルシー」

下方がアナカンプセロス属の「桜吹雪」

 

この陶鉢は他の作品の削りカスを固めて中をくり貫いた副産物でもある。
 
黄瀬戸や伊羅保を薄く筆塗りして焦げを作る。釉薬は接着剤の役割も果たし強度も上がる。
 
さらに二酸化マンガンを水で溶いて窪みを中心に筆塗りし、タワシで表面のマンガンを剥がす。これで隙間に残ったマンガンがヒビを強調してくれる。
 
酸化焼成したが、還元焼成のほうがより焦げた色合いにはなると思われる。
 
今後、削りカスは全てこの方法で陶器鉢に再利用していこうかと思う。
 
次回はもっと岸壁の一部から生えているように作ってはどうか。こんな岩の窪みの隙間に少量だけ溜まった土に活着できるんだという、多肉植物本来の生命力を表してみてはどうか。

 

 

筒林立白マット陶鉢 X 柱状多肉 希望丸、龍神木、白樺麒麟、姫将軍

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径の大小異なる筒を林立一体化させた大鉢。これに植え込んでいく。

 

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手持ちの柱状多肉を吟味した結果がこちら。白い棘に覆われた仙人掌「希望丸」、緑の肉肌の仙人掌「龍神木」、厳密には仙人掌ではなくユーフォルビア属でそこら中から枝を出す「白樺麒麟」、そして緑で棘状だが柔らかそうな葉を伸ばす「姫将軍」。

 

一番右の最も小さな径には根を張る十分な深さがないのでリトープスでも植えることにした。

 

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姿形色の変化を楽しむ鉢としては面白いのでは無いかと思う。

 

魅せる為の鉢であり、収納効率はすこぶる悪い。しかし利点もあり、水受け皿が一体化しているので、どこにでも置ける。

 

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希望丸、竜神木。

 

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白樺麒麟、姫将軍。

 

ようやく我が家の多肉植物の9割方を市販プラスチック鉢から手作りの鉢に移植し終えることができた。残りは3、4鉢ぐらいか。

陶虫夏草 団子虫 X 「ツルビニカルプス ミニムス」

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団子虫の死骸が焼きあがった。雌雄のつがいということにしておこうか。

 

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白い結晶が析出する周囲は深い緑青に発色するのが魅力。結晶が黴に覆われたような風情で気に入っている。団子虫だから黒土で作る方がそれらしかったのだろうが、蝉に合わせて続編という位置づけなので良しとする。

 

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ワガママを言うと、結晶周辺の流れた部分ができの悪い黄瀬戸のようなので、これが白や緑ならばなお良いのだが。

 

池袋の西武百貨店屋上にある鶴仙園で物色するも、お目当ての「小人の帽子」や「月世界」といった白サボテンはどれも群生株で手の届かない値段。

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そんななかでピンときたのがツルビニカルプス属の「ミニムス」という北米産の小さなサボテン。しかも1000円という安さ。

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早速、翌週末に植えてみた。サイズのバランスも良い。これがさらに上方に伸びていってくれるのが狙い。

 

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内臓を苗床にして湧いて出た感が適度に出ているのではないか。

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もうひとつの閉じかけの団子虫はどうしようか。こちらには「緑蛇」を植えてみた。

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これもこれで悪くない。こんな冬虫夏草は実際にありそうだ。

 

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蝉の抜殻の続編として今回は団子虫を作った。さて、次回冬虫夏草シリーズは何にしようか。黄金虫か、芋虫か。兜虫を作りたいと思ったこともあったっけ。

四つ重ね筐鉢 X 「エケベリア」

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12ほど穴の開いた立方体を上に4つ積み重ねた鉢。

 

赤土にトルコ青を刷毛塗りして酸化焼成した。どぶ漬けにしなかったので薄く飛んでムラのある仕上がりになった。化粧土のマットな仕上がりが良かったのだが、構造上、継ぎ目が弱そうなので釉薬で補強したかった。よって釉薬の光沢ある陶肌は仕方がない。及第点。

 

早速、植えてみた。

 

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筐同士の継ぎ目には穴が開いており、最上段から水を注げば一番下の筐まで中を水が通り抜けていくようにしてある。 

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さて、正面はどの方向か。

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日照を考えるとこちらが正面とするのが良さそうだ。

 

エケベリアは種類も多く、買い集めると陳列面積を占有しがちだし、水平に陳列すると没個性的になり、それぞれの魅力が引き立たないと思っていた。立体的にエケベリアを集積するという案はそれなりに上手くいきそうだ。似たようなのが数柱あっても面白いかもしれない。今度は五段に挑戦してみようか。

 

花うらら

野薔薇の精

桃太郎

マーガレットレッピン

ラウリンゼ

ブラウンローズ

 

 

辰砂マンガン流し鉢 X 「キムナッキー」

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赤土に辰砂の参加焼成で発色する青緑が好みだ。マンガンを表面に流すと動きが出て面白い。もう少し辰砂に粘性が高ければ流れ方に対流が生まれ渦巻いて面白くなるのだが。

 

リトプスを植えようかと思ったのだが、行く宛が今のところ無いクラッスラ属の「キムナッキー」が目に留まった。

 

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これもありかな。正円に四角の幾何学

 

赤土に辰砂でもう少し大きな鉢も作りたい。

映画「LaLaLand」「手紙は憶えている」「ザ・コンサルタント」「マリアンヌ」「人間の値打ち」「聖の青春」「永遠の0」

 フランス往復の機中で観た映画備忘録。

「ララランド La La Land」 ☆☆☆

ザ・コンサルタント The Accountant 」☆☆
「手紙は覚えているRemember」☆☆☆☆
「マリアンヌ Allied」 ☆
「人間の値打ち Il capitale umano」☆
永遠の0」☆☆
「聖の青春」☆

この世界の片隅に」 ☆☆☆☆

 

「ララランド La La Land」 ☆☆☆

ミュージカルなんてものはワザとらしい唄や踊りの挿入に気持ち悪さを覚えるジャンルだった。アカデミー賞をいくつも受賞したという知識がなければ見なかったであろう作品。
 
これから職責がわんさか増えて、引継ぎして問題の多さに目眩がしそうになって、少し弱気になっていた時分、これに勝る強壮剤は無い。勝負を挑んでナンボ。失敗するリスクの無い仕事をこなす為に私は任されたわけでは無い。
 
社歴や人生経験の長い人達が上司になる私を見定めようと距離をとって眺めている居心地の悪さを感じている。自分を出していくしかない。自分が良いと思うものを試していくしかない。話は聞く。意見も尊重する。全ての責任は取る。何に勝負をかけるかは自分が決める。知ったことか。
 
音楽は力だ。映画も力だ。創造的な仕事は素晴らしい。愉しくて励まされて切なくなって、それが人生だと思わせてくれる。良い映画を観れた。
 
巷ではこの映画は賛否両論らしい。結局は平凡な話じゃないか、と。そう言われればそうなのだけれども、平凡な人生の困難に四苦八苦している我が身に少しばかりの力をくれるならばそれで良い。一言でまとめると「挑戦する人生を!」。心が枯れ始めたアラフォーのミッドライフクライシスに刺さる映画なのだと思う。
 
ライアン・ゴスリンの捻くれているくせに口角の上がる微笑が良い。

 

ラ・ラ・ランド (コンプリート・ミュージカル・エクスペリエンス)

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ザ・コンサルタント The Accountant 」☆☆
会計士とコンサルタントの違いを知らない、あるいはザ・アカウンタントだと売れないと判断した配給会社は残念極まりない。
 
自閉症患者の可能性を賛美し偏見を戒めるくせして、会計士なんて一般人の受けが悪そうだからもっと食いつきそうなコンサルタントにしようという浅薄な偏見。自閉症患者に特殊能力を期待するようになるのも困った偏見だと思う。
 
アクション映画のわりに骨太に造られている。しかし気に入った女性は救い、義足で大勢の患者を救う企業のCEOは撃ち殺す。裏世界の資金の洗浄屋会計士である主人公は、凄腕の裏世界の殺し屋の弟を家族だからというこれまたマフィア的価値観で仲間に得て映画は終わる。なんだこりゃ。
 
悪が主役の映画。ベンアフレックが存在感がありすぎて見応え充分なアクションサスペンス映画だが、冷静に考えるととんでもないストーリー。この手の映画に内容なんてどうでも良いということなのだろうね。演技が上手い俳優とスリルのあるアクション、主人公の少しばかり暗い生い立ちと世の中の解った感。
 
観て損したとは思わない娯楽作。
 
「手紙は覚えているRemember」☆☆☆☆
妻を亡くしたことを忘れるほど物忘の激しい90歳の老人が一通の手紙だけを頼りに、アウシュビッツ収容所で家族を殺したナチスの逃亡犯を探し出す旅に出る話。
 
眠気が吹き飛んだ。彼は自覚していたのか、操られたのか。
 
予想外の秀作。昭和は遠くなりにけり。それでもまだ作品を生み出し続ける第二次世界大戦の負の熱量の大きさたるや。
 
今のところ、2017年度のベスト映画はこれ。
手紙は憶えている [DVD]

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「マリアンヌ Allied」 ☆
ブラピ主演。第二次世界大戦下の諜報員とレジスタンスの恋愛。
 
自分の物事の見方が歪んでしまったのか。素直にストーリーを受け取れなかった。ナチスの諜報員だと発覚した妻。それを信じて二人で逃げる道を選んだ夫の命を救うために自ら犠牲となる道を選ぶ妻。なんだかブラッドピットが都合の良い悲劇のヒーロー過ぎて白けた。
 
真相は知らんがブラッドピットとアンジェリーナジョリーの醜聞や親権争い、離婚騒動を見聞きして自分の中で家族を守る責任感や愛情に溢れた人間としてブラッドピットを認められなくなったからなのだろう。俳優の演じる作品と俳優の私生活を重ねてしまうのは映画鑑賞の仕方として間違えかもしれないが、それを想起させるブラピが悪い。
 
前回のフューリーといい、遠く過ぎた第二次大戦後を舞台に悲劇の皮を被った自己賛美的な作品に続けて出演するブラッドピットにウンザリしている。「A River Runs Through It」の頃のブラッドピットが好きなだけに反動的失望なのかもしれない。

 

 
「人間の値打ち Il capitale umano」☆
イタリアアカデミー賞7冠のサスペンスという触れ込み。
 
大富豪と、中所得でギラついた不動産経営者と、恵まれない家庭と。誰もが自分勝手で自分が可愛くて、殺された男の家族に想いを寄せる人は誰もいない。
 
観客の娯楽の為に大富豪を悪者にはしていない。実話に基づいている以上、観客が好む形にはなっておらず。金持ちが腹黒いとは限らず、貧しい者が卑屈で小狡いことも多いわけで、どうせなら私は心の豊かな金持ちになりたい、とどうでもいい感想を浮かばせた作品。
 

これでアカデミー7冠って。。。 ニューシネマパラダイスやイルポスティーノを産み出したイタリアとは思えぬ。

 

 
「聖の青春」☆
東の羽生、西の村山と謳われた棋士村山聖松山ケンイチが演じる。
 
村山という人物像が掴めず仕舞いだった。傍若無人に振る舞っているかと思えば羽生名人には終始、敬語。誰に対しても傍若無人なのではなく、自分が認める相手以外はしっかりと見下しているのだな。伏線からすると名人位を獲るのかと思ったが、痛恨の落手で負けて終わる。
 
実在の人物だし故人なのでとやかく言いたくないが、キングカズに語らせれば自己管理できずに何を勝利への執念だ、と。実在の人物だけに村山九段が本当に傍若無人な人だったのか、気になる。観客ウケを良くする為の脚色だとしたら失礼な話だ。 
 
3月のライオン」の主人公のライバルに小肥りの持病持ちの二階堂という青年が出てくるが、村山九段がモデルなのではないかとふと思った。
聖の青春 [DVD]

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永遠の0」☆☆
小説と受け止め方が変わった。小説を読んだときはあれだけ家族を愛していた彼がなぜ特攻に志願したのかという疑問を映画ほどには感じなかった。映画を観るとその疑問は深まる。
 
冒頭の玉砕シーンが無かった。飛行機の上で観たから飛行機が墜落するシーンは予めカットされていたのか。他にもあれだけ撃墜シーンをそのまま流しているのだから、物語の起点となるシーンをカットする意味はない。映画版ではあのシーンは描かれていないのか。
 
 戦闘シーンやセットが金かかっていてチープな合成感が少なかった。大ヒットした小説をもとにしているので張り込んだのだろう。

 

この世界の片隅に」 ☆☆☆☆

童話絵本のようなタッチの絵で牧羊的に物語は始まる。戦時下でも紡がれる生活が丁寧に描かれる。

 

「夫婦ってこんなものなの」という主人公の旦那への問いかけへの答えを未だ思案している。旦那の深意を計りかねている。

 

天然でぼーっとしている「すず」ですら表情を失い追い詰められていく戦争。牧歌的に描かれて始まるからこそ、その対比も際立つ。

「ぼーっとしている」が英語字幕ではabsentmindedと訳されていた。mindfulnessとは逆の言葉だ。しかし座禅での心構えはmindfulnessではなく、このabsentmindedなのだと思うのだよな。私としては巷の意識の高いmindfulnessではなくabsentmindedを常日頃から習得したい。

 

私の中で「君の名は」よりも評価の高い2016年のベスト映画はこちら。

 

 
 
 
 
 
 

三月の緑道

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ハナニラが咲き乱れ

 

 

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連翹も爽やかに彩りを添え

 

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鈴蘭水仙も可愛らしく

 

 

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中東で古代から親しまれるムスカリも帯状に林立した様は壮観で

 

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石蕗も紫陽花も瑞々しい緑

 

 

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小手毬も蕾を付け4月に向けて備えが進む

 

 

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一番の悦びは南高梅が十ほど実を結んでいたこと

 

2週間のフランスは疲れた。安らげる機会が少ない。田舎町で何もしない1日なんかがあれば違うのだろうが、路面は犬の糞やなんかで汚いし、地下鉄や雑踏ではアジア人に対する奇異な視線に多少の緊張感を帯びる。言葉を聞き取るのに神経が磨り減る。

 

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我が家周辺で日向ぼっこする猫を眺め、断水気味だった植木に水をやり、愛犬マンゴー殿と緑道を散歩する。そして朝からなみなみと肩まで浸かれる湯船で小説の一冊でも読むとようやく、身も心も弛緩する。

 

日本が好きだな。本音を言えば、もっと静かな地方都市に移り住みたい。それか京都。

 

すっかり春。まだ疲れて、あれこれやりたい気持ちが起きないが、これからさらに草花が萌えていくのは楽しみだ。