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映画

小説「スペードの3」「仏果を得ず」に自己投影

「スペードの3」 「何者」で戦後最年少直木賞を受賞した朝井リョウの作品。 子供たちの嫉妬や不安、加虐性、優等感、劣等感などは誰もが少なからず似た経験をした青春期の思い出として苦く生暖かく受け入れられがち。その一方で大人の嫉妬や悪意は肯定しよ…

LaLaLand、手紙は憶えている、ザ・コンサルタント、マリアンヌ、人間の値打ち、聖の青春、永遠の0、

フランス往復の機中で観た映画備忘録。 ララランド La La Land ☆☆☆ ミュージカルなんてものはワザとらしい唄や踊りの挿入に気持ち悪さを覚えるジャンルだった。アカデミー賞をいくつも受賞したという知識がなければ見なかったであろう作品。 これから職責が…

河合隼雄著「働き盛りの心理学」

昭和55年の統計データなんかを元に論じられている河合隼夫氏の少しというか、かなり古い本。古い本にも拘らず目新しさが殆どないということに、新鮮な驚きがあった。 親が子供に物質的に貧しい時代の幸せの在り方を示せても、物資的に豊かな時代の幸せの在り…

中年クライシス小説「月と6ペンス」

敬愛する河合隼雄氏ですらミスは犯すのだな。 買ってから暫く放置していたサマーセット・モームの「月と6ペンス」をおもむろに読み始めたら止まらない。これこそ河合隼雄氏が「中年クライシス」に収録すべきだった大人の中二病小説ではないのか。収録した数…

映画「君の名は。」

アラフォーに差し掛かる友人知人の高い評判を聞いてアニメ映画「君の名は。」を観た。世の中には素晴らしいものがまだまだ沢山あるもんだな。新海誠監督のような存在がいることが有難い。 素晴らしいものを享受する側、消費する側にいて、産み出す側に立て…

村田沙耶香著「しろいろの街の、その骨の体温の」

「コンビニ人間」で芥川賞を受賞した村田沙耶香さんの2014年の小説。いまだに週に3回ほどコンビニに勤務し、勤務した日だけ、夜2時頃に起きて朝6時まで執筆するらしく、朝井リョウや西加奈子ら小説家仲間からの渾名が「クレイジー沙耶香」だとか。 小説家は…

リアルと評判だった単なるヒーローアクション戦争映画「フューリー」

自分の虫の居所が悪かったのか。「アカデミー賞最有力候補」だとか、「圧倒的なリアル」と評判だった本作をようやく観る機会に恵まれたのだが、観終わった後に腹の中に気持ちの悪さが澱んだ。 リアルってなんなのさ。脚が吹き飛び頭を撃ち抜かれるシーンを多…

欲望のバージニア

禁酒法時代のバージニア州フランクリン郡で密造酒で荒稼ぎをするボンドュラント三兄弟の話。原題はLawless。和訳すれば無法なんだろうが、禁酒法なんていう法律が有ったから生まれた物語。 実話に基づいた映画だそうで、孫のマット・ボンドュラントが祖父や…

ゾンビランド

ゾンビランド (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Amazonビデオ この商品を含むブログを見る くだらない。 大ヒット娯楽映画だ。中身はくだらない。本当に。気を張る要素は無い。それこそ、ポップコーンをポリポリ音を立てながら芝生にでも寝転んで観る…

ジブリの大博覧会

広告宣伝やコピーに主題を当てた展示というのが面白い。 背景の深慮や想いが辿れる。コピーの正論でいえば、そんな背景を説明なしに宣伝文句で伝えられないといけない。 ただ、どんな名コピーだろうとも、宮崎駿や高畑勲の深い想いが一行の言葉で伝わりきる…

The Martian オデッセイ

そうか、火星の外気に触れたら一瞬でバクテリアも死ぬのか。火星の土には有機物は無さそうだがあの僅かな人糞と水だけで育つのだろうか。空気を作り続ける装置の仕組みとか、どの程度リアリティーのある話なのだろう。西暦何年設定なのか。科学的な興味が沢…

Black Swan ブラックスワン

数年前の話題作で興味があった。 ナタリー・ポートマンがこんなにバレエを踊れるだなんて。レオンの頃から銀幕のスターとなったのに、バレエを何処かで習い続けていたのだろうか。誰にでもできる役ではない。頭が下がる。幼少期にバレエを習っていた下地に加…

The Intern マイインターン

期待していなかった良作。「プラダを着た悪魔」が好きな、バリバリと働く若い女性を狙い撃ちにした映画。「プラダ」を何度も好きで仕事で落ち込んだ際に見ているという友人の話を聞くが、そういう人はこの作品も嵌るんではなかろうか。お洒落なオフィス、価…

Creed クリード チャンプを継ぐ男

ロッキー一作目に肩を並べる名作。スタローンがラズベリー賞での名誉回復賞をもらうだけある。確かに声が上がっていたようにアカデミーの主演男優賞はもうこれが最後かもしれないスタローンのほうが収まりが良かったとさえ思う。 なんだか涙もろくなった。 …

アメリカンビューティー

白い歯を見せて力強く握手する。自信に溢れ、明るく快活。大きな声で笑う。 刷り込まれたアメリカ人の理想像だけど、何かをきっかけに抑圧され蓄積された醜悪さが反動のように一気に噴き出す。 アメリカ人のほうが欧州人や日本人より陽気で誠実なのか。そう…

猫シネマパラダイス

ニャーシネマパラダイスがないのは落ち度ではないか。 ニャウシカが一番オリジナルから乖離しているように見受けるのは、版元の著作権保護への意識の高さに比例しているということでしょうか。 猫の惑星 荒野の七猫 ショーニャンコの空に 十二匹の怒れる猫達…

青梅という街並み

駅舎から既に昭和初期の街並みは始まっている。 街道沿いには映画の立て看板を冠した商店が並び、団塊の世代が子供の頃に親しんだものに溢れていて面白い。ただ、紅葉の時期の11月の土曜日だというのに道行く人は少ない。少なさすぎる。これで町興しが成功し…

風たちぬ

ジブリの風たちぬを観たがなんとも消化不良。 実際の堀越二郎氏の細君は結核ではなく天寿を全うしているし、堀越氏のように東京帝国大学航空科を首席で卒業し、卒業前から三菱内燃機に内定しているような当時にしてみたら国家的人材が自由恋愛し、さらには平…

Extremely Loud & Incredibly Close ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

主人公である少年、トーマス・ホーンにギルバートグレイプのレオナルド・ディ・カプリオを思い出した。そのぐらい才気だった演技だったと思う。 子供なんて所詮子供と思いきや、持て余すほどにアンバランスに一部分だけ大人だったりする。そんな12歳の少年の…

映画「ARGO」、「Trouble with the Curve」

長距離出張の機内の楽しみは国内ではまだ上映されていない映画。Cathyはフルフラットの座席に加え、なかなか風変わりなキャビンになっていた。 ARGO いかにも映画のような粗筋が実話だったということにこの作品の9割の価値を依存しているような気がする。ベ…

コクリコ坂から

「コクリコ坂から」というジブリ作品をテレビで上映していた。60年代の情緒に溢れた派手さはなくとも、丁寧に描かれた好感のもてるものだった。 見終わった後に残るのは少しの寂しさ。描かれているのは主人公の甘酸っぱい青春と恋愛なのだが、そんなものより…

やわらかい手

名作。 嫁には夫に先立たれたら、こんなカッコ良いロックな婆さんになってほしい。 偏見や先入観に惑わされずに本当に大事なことを見誤らずに突き進む。それが例えあんなことやこんなことであったとしても。それにしても世の中にはいろいろな職業があるのだ…

アレクサンダー

オリバースコット監督によるアレクサンダー大王の生涯を描いた歴史大作。。。と呼んでいいのかどうかわからない。 アレクサンダー大王の側近にして大王の死後に後継者争いを起こしてエジプトを占有したプトレマイオスが追想する形で物語が描かれるのだが、プ…

尖閣 IN A BETTER WORLD

思い知らせてやるだとか報復してやるだとか後悔させてやるだとか。 何をしようが相手がそうなるわけがない。せいぜい相手も同じように報復しようとするだけ。 実効支配されても日本が全く竹島の領有権を諦めるつもりはないのだから、実効支配したところで尖…

瞳の奥の秘密

住まいを変えようとも、職業を変えようとも、恋人や家族を変えようとも、人間関係を変えようとも変わらないもの。それは情熱。理由もなくせずにはいられないような何かは変えることができない。そういうものが誰にしもあるらしく、そこにその人の本性が現れ…

モテキ

友人の幾人かが面白いと勧めてくれたので観てみた。おもしろおかしくモテない冴えない男がひょんなことからモテてしまったドタバタを描いている。 しかし、どうにも観ていて不快感が残る。一言でまとめてしまうと不倫相手が構ってくれないので寂しさから男に…

冷たい熱帯魚

ベネチア映画祭で6分間もスタンディングオーベーションが止まなかったという高い評判を聞いて鑑賞したが、吐きそうなほどグロテスク。滑稽に思わないと受け付けられない陰惨なシーン。 俳優「でんでん」の怪演に度肝を抜かれる。本当の悪人はこんなんかもし…

ザ・ボクサー

胸の熱くなる映画だった。スポーツ映画で過去最高の作品だろう。単に過去の栄光をひきずるろくでもない麻薬中毒の兄や狭視野なマネージャーの母と絶縁してどん底から再起を図るというのではない。クリスチャンベールが演じるディッキーのろくでもなさは観客…

ブラックブレッド

内戦直後のスペイン農村が舞台。閉鎖的で嫉妬や偏見に満ちた村人、威圧的で腐敗した役人。真っ直ぐな目で信念と自由を息子に説く父親、身を粉にして働く愛情溢れる母親。そんな安心して見られる構図が次第に明らかになっていく嘘で崩れていく。 自らの親の清…

花のあと

藤沢周平原作の短編小説の一話を映画化した作品。 映画化するからには想像を上回るような美しい映像やリアリティで魅せてほしいものだけれども、原作には遙かに及ばない実写化が殆ど。そんな中で「花のあと」も例に漏れず。 北川景子という人気若手女優が伊…

最後の忠臣蔵

言葉少ななしぐさの中に様々な思いが感じ取れる、心の襞を存分に描いた作品。役所広司の重厚感、桜庭ななみの清廉な美しさ。映像も美しく、素晴らしい作品には違いないのだが腑に落ちない。なんだかおっさんの自己陶酔のように見えてしまう。 汚名を着せられ…

アバウトシュミット

保険会社のアシスタントバイスプレジデントとして定年を向かえ、退社したウォルター・シュミットをジャックニコルソンが演じる。 会社で大部分の人生を費やしてきた者にとって、会社で何を達成してきたかこそが重要だ。そんな言葉を友人からかけられるが大き…

告白

邦画と言えば迫力のある特殊撮影に欠け、日本人向けの心理描写豊かなドラマにしか向かないと思ってきた。単に美麗な景色でとったというのではない、今まで観た中で最も卓越した特殊撮影技法と見せ方で綴られた邦画だ。 命の重みとは何かを、訴え欠けているよ…

英国王のスピーチ

立憲君主制下での王も20世紀に入ると大した政治的権力も持たず、国民の前で演じる役者。王族はもはや最も卑しい身分に成り下がった。そんな王族による自嘲的台詞が繰り返される。 ジョージ6世は体が弱く、幼少期の乳母からの虐待や厳しい躾の心的ストレスに…

The Whistlebrower

この映画は冒頭で告げられるように事実なのか。UNによるサラエボでの組織的売春目的の人身売買。 UNの現地活動員が訴追免除されていることも初めて知った。不正は揉み消され、誰も処分されず、似たようなことは他の戦地で繰り返されているとのこと。 人種と…

ちはやふる

職場の後輩から「ちはやふる」という百人一首の競技かるたを題材にした漫画を借りた。年初に八坂神社で歌留多始め式を観て以来、興味があった。 かるた会という組織に所属しながら、学校のかるた部を通じてかるた日本一を目指すというものなのだが、物語に引…

三丁目の夕日64

三丁目の夕日を観て来た。茶川役の吉岡秀隆が自身が「北の国から」で育ったことを述懐するように、この映画も子役の成長をそのまま見守るような国民的映画になりつつある。 義理人情と家族愛のわかりやすいホームドラマと言うこともできるが、陰惨なシーンの…

ライフ

どうやって撮影したのか。生まれて日の浅いアイベックスが狐に追われ断崖絶壁を駆け回る。やがて狐には届かない岩肌に逃げ込んで難を逃れるのだが、何故狐には届かないのか、その可否を隔てるものが何なのか不思議だった。生来、平衡感覚が抜きん出ているの…

The Tree Of Life

ショーン・ペン、ブラッド・ピット、そしてカンヌ映画祭グランプリということで早速観にいってみた。 しかし監督はテレンス・マリックで、この人は「シン・レッド・ライン」という戦争映画を撮った小生にとっての鬼門の監督。巨匠、感動作という言葉に釣られ…

コクリコ坂から

終始ノスタルジーに包まれた青春恋愛版「三丁目の夕日」あるいは「耳を澄ませば」に似た印象。1960年代にも数々の時代の負の側面があったのだろうが、懐古的で肯定的なものだけが画面には映し出される。嫌な記憶は忘れやすく過去は美化しがちだけれどもそれ…

八日目の蝉

八日目の蝉という邦画を観た。 地上に出て七日間しか生きないという蝉。八日目の蝉は他の蝉が見られない八日目を見られて幸せなのか、はたまた孤独なのか。そんな感傷的なエピソードが出てくる。 そもそも世界中の蝉が同じ日に生まれる訳ではなかろうに。自…

ラストサムライ

民放で放映されていた。つっこみどころが多すぎて悲劇の中にも多少の笑いが混ざる。計算ずくで狙ったのだろうか。種子島に火縄銃が伝わって半世紀もたたぬうちに日本は50万丁以上を保有し、西欧を含めて世界最大の銃保有国となっている。明治維新から遡るこ…

ヒアアフター

クリントイーストウッドはもう人生の黄昏時を歩いているのかね。自分の人生を反芻するような描写が多いし、明らかに自分の死を意識し始めている。 グラントリノではクリントイーストウッド自身がどのような死に方をしたいのかを描いたように思うし、今作では…

ザタウン

ままならぬ冴えない日常から抜け出す為に、あるいは今までの自分を変えるために一発逆転のセカンドチャンスを夢見る人達。 ストーリーはなんてことない。銀行強盗とそれを取り巻く人間模様。銀行強盗をやり遂げ、主人公だけハッピーエンドで何か騙されたかの…