陶芸
蟲を苗床にして生える植物のイメージは玉葉のサボテンや多肉植物になりがちだけれどもこんな細い葉もありではないか。白の幅が太い、いわゆるワイドバンドと呼ばれる十二の巻。 蚕蛾はせつない。毎日狂ったように食べ続け、基本的に繭から出ることなく煮沸さ…
モノを作って売っている者としての備忘録 作品を発表して売り始めたのは日常生活を送っていても蟲好き、多肉植物好き、粘菌好き、陶器好きに滅多に会わないから。自分の作品を売りたいわけでも換金したいわけでもなく、自分の好みを反映した創作物を買うぐら…
少し時期を逸した気がするが、いまさらながらに陶蟲夏草鉢「蝉幼虫」にテフロカクタスを植え込むことにした。金網で柵を作り土の深さを増すことで通気性も排水性も向上させている。 そこに装飾用の水苔を巻いて金網を見えなくした。 蝉幼虫を苗床にして背中…
「もしもこんな生物がいたら… もしもこんな植物、鉱物、世界があったら… もしも博物展では、そのような想像から生まれた博物をテーマにした作品がずらりと並びます。 非現実的な要素を持ち合わせながら、リアリティを追求した精密さがあり、その世界に引き込…
久しぶりに高円寺ルック商店街をくまなく歩いたら知らなかった新しい店がいくつもあって新鮮だった。何より嬉しいのが民藝陶器を扱っている、しかも相当ハイクオリティの店が開いていて興奮した。 ペルシャの大皿。この素朴な向かい合った鳥の絵と器の古色が…
インスタグラムで以前からメッセージを送ってくださっていた方にご所望の陶蟲夏草鉢をお譲りすることにした。 蟲の躯体を白くした鉢をここしばらくは作っているがこの総腐食バージョンともいうべき陶鉢も一部の人から求める声がある。有機的な見た目を好んで…
机の上のスペースを占めていた陶蟲夏草鉢の一群を梱包した。1箱を11月から販売していただく雑貨屋の京都店。1箱をその雑貨屋さんのネット販売部門へと郵送する。 値付けというものは本当に難しい。アートとしては安い。ハンドクラフトとしては高い。そんな値…
自作の陶蟲夏草一輪挿しを持ち込んで信州の緑の中に置いて撮影してみた。こんなキノコを胴の横に生やしても良いかもしれない。 植生の中に佇む白い自然造形物。キノコや粘菌の菌糸体をこってりと艶のある飴釉にしても面白いかもしれない。 何の木の葉だろう…
大顎や粘菌の菌糸体が折れるのは時間の問題だろう。鉢を持つ際にも持ちどころに気を使う。 ようは誰かにお譲りすべきでないような耐久性の低さ。それでいて植木鉢という実用雑器を目的として作っている矛盾。 手元に置いて、植物を植え込んで育てようかと思…
ついに作ってしまった。人気の昆虫カブトムシの中の人気品種ヘラクレス。ありふれた蟲や地味な蟲の美に焦点を当てたい私としては気恥ずかしい。 雑な柄杓掛けした白釉薬が民藝の雑器らしさになって良かった。 開口部も大きいので少し幹の太いサボテンやユー…
みんな大好き、ツノゼミ。(私の歪んで狭い蟲好きな人対象調べ) 難点はその奇怪珍妙な角が陶器で作るには相性が悪い。先の球が焼成時に垂れ下がってしまうので柄部分を細く長くできない。正面から見ると珍妙なコック帽のようになってしまった。 それにして…
焼き上がりを初めて見た時、「よしっ」と心の中で叫んだ。「タランチュラ」こと和名「大土蜘蛛」の陶蟲夏草鉢。 黄色のクラスペディアグラボーサのドライフラワーと合わせると春めいた明るい雰囲気になった。 まあ、一般ウケしないだろうがこんなものをテー…
京都大徳寺にお邪魔するにあたり、ギリギリ焼き上がった陶の羊像。 井戸守にして下さったようです。 羊面六臂の如意輪観音に似た姿勢。 こう見えて植木鉢。3つ穴が空いており草花を挿せるようにしてあります。 16世紀創建の古刹の古井戸に据えられて5割り増…
全草が有毒だと言われる彼岸花。食べるともう「彼岸=あの世」に行くだけだとも言われる。 リコリンという有毒物質は花の蜜には含まれないのだろうか。あるいは揚羽蝶には耐性があるのか、敢えて毒を取り込んでいるのだろうか。 これが薄暗い森の中ならば死花…
お題を頂いた。「もしも」といった想像上の設定で博物的なモノを造ってくださいとのこと。 そこで作ってみたのがカンブリア期の古代生物「アノマロカリス」を苗床にして育つキノコを模した鉢。造形作業2時間。 アノマロカリスは海の中の生き物だし、カンブリ…
ちょうど1年前の9月18日に亡くなった愛犬マンゴー殿を偲び悼む「羊頭狗肉」2弾。 子犬だったころを思い出して頭の大きい足取りも不器用な頃の姿。ホテルのスリッパを嚙みちぎって部屋をゴミだらけに散らかしたっけ。 アイキャッチと呼んだか、羊の眼も犬の眼…
宝石象虫の陶蟲夏草一輪挿し。 右前脚が欠損しているのだが、単に造形ミスのように見えてしまう。 中、後肢なども欠損させて風化した亡骸なのだともっと主張させるべきだった。 脚を欠損させるならばもっとわかりやすくしないとダメだ。 白い釉薬に翡翠色を…
オレンジでもイエローでも黄花秋桜(キバナコスモス)なのは色に対しての感受性に乏しすぎやしないか。 花弁の透過性は素晴らしい。見下ろすよりも見上げるべき花だ。 一輪挿しの良いところは冬虫夏草のコンセプトから遠ざかろうとも庭に咲く草花を摘んで家…
ヒスイホコリと名付けた粘菌子実体を加飾した一輪挿しや植木鉢の作品群。 こんなに作ってどうするのか。売るのだ。売る前提だからこそこれだけの数を作った。 売ることは生産量を上げることに繋がり、制作技術の向上にもつながるようだ。 しかし庭の一角に一…
腹部の段々がうまく表現できたように思う。グロテスクと写実とデフォルメのはざま。 草食の昆虫にもかかわらず致死的な被害をもたらす凶蟲でもある。 生息地に食料がなくなると翅が伸び大群となって長距離飛翔して新天地の穀物を食い尽くす災い。そんな蟲に…
団子蟲の陶蟲夏草一輪挿し。粘菌子実体に緑青色が綺麗に発色してくれた。 表面を発泡させたテクスチャーで有機性を表現するのではなく、釉薬の複雑で深い色合いで有機性を表現する試み。 ドライプランツを合わせるとヒョロヒョロと伸びて炸裂間近の胞子嚢の…
何だかよくわからないものを作っている。羊の如意輪観音。前脚が六臂、後脚が一対。 手捻りで1時間半の造形。適度な雑さ、粗さで留めるのが肝要。精緻に端正に造ったら素朴さが消えてしまう。 人間の手のような姿勢をとらせると骨格の構造が異なる山羊の脚は…
昼顔が朝陽を透過して見せた奇跡的に美しい一枚。逆光はドラマチックにしてくれる。 たぶん、今のところ一番売れやすい人気の陶蟲夏草の型がクワガタの成虫の陶蟲夏草鉢。見た目のわかりやすさがある。 こちらは粘菌子実体を発泡させ、粘菌のアメーバらしさ…
大土蜘蛛はタランチュラの和名だそうだ。大土蜘蛛と呼ぶと毒蜘蛛の印象が薄れる不思議。 胴や脚に粘菌の子実体を生やし、発泡させてより有機的に表現してみた。 なかなか満足のいく出来。 蜘蛛の兄弟鉢。 蠅取蜘蛛が威嚇の姿勢で朽ちている。 花を合わせると…
今回の釉薬を発泡させて粘菌が浸潤した様を表現する試みが最も成功したのがこの作品かもしれない。強度は損なわれるが細い軸の粘菌の子実体を蟲の横に添えた。ジクホコリだ。鉢の外周から飛び出さない範囲に作る分には問題なさそうだ。 ガラス瓶にもピッタリ…
拾ったクスサンの繭を少し綺麗にして持ち帰った。それを合わせてみたら劇的。 アミダケのような雰囲気が加わった。自然の造形美の前には私の造形力なんぞ無力だと思い知らされる。 クスサンの繭をもっと収集して、陶器でジクホコリの軸だけ作って組み合わせ…
命の尽きる最期の数週間を羽ばたかせた翅。その立派な翅を目立たせたかったが悪くない出来。 粘菌の子実体をイメージさせるドライプランツもサイズ感や形状が実に合うように思う。 そして空を引っ掻くように動く脚。 結実した7つの珠は蝉の魂か。儚さのよう…
大窯で素焼きさせていただいた。なんだか勿体無いが助かった。子供の夏休みの自由工作を8月中に完成させるためには釉掛けを済ませておきたいところだった。 マグネシヤマット釉を上から流し掛けていく。 今回の挑戦はこの右の蝉成虫。細い粘土紐で作ることで…
一目惚れして買ってしまった。陶植木鉢を自分で作っているので極力買うのは控えてきた。欲しい鉢があれば下手でも自分用に技術向上のためにも模写模造すべきだと思ってきた。しかしこれは仕方ない。 自分でも販売するようになると他の作家さんがどのように梱…
三重県四日市に2023年1月にできた植木鉢と塊根植物やサボテン、多肉植物のお店「HACHI-8」。1階には電動轆轤を備えたアトリエ、2階にはソファなどがあるゆったりとした鉢の販売コーナー、3階には撮影ブースや鉢の植え替えブースなどもある植木鉢と珍奇植物の…