京都からの戦利品

京都のお菓子は大抵、東京で買えてしまう。何を買って帰ろうか、という時にこれも買えるしな、あれも新宿伊勢丹で売っているしな、となる。何せ京都の友人宅へのお土産の菓子折りを新宿伊勢丹に買いに行き、京都のものだらけで困ったぐらいだ。

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北野天満宮学業御守護札。

長五郎餅という美味しいお餅が北野天満宮の境内にあり、これは東京ではまだ買えないのだがあいにく日曜日で営業していなかった。
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東京で見かけたことのない滋賀の新酒の地酒「鶺鴒鳴(せきれいなく)」
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玉乃光、玉川、神蔵、まつもと、英勲と大抵の京都の銘柄は東京で買えてしまう。立ち寄った西陣の酒屋で東京で見かけなさそうな京都の地酒で美味しいおすすめはないかと聞かれて勧められたのがこの「鶺鴒鳴」だった。
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そして今回の一番の発見が和久傳による山椒香油。山椒の爽やかな香りが鼻腔に抜ける絶品な味変アイテム。
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そして晩御飯用に551の豚饅を買って帰った。

残念なことに中村藤吉の抹茶ソフトクリームはテイクアウトが無くなってしまったので栗ゼリーを家族人数分購入。

 

ちりめん山椒の名店「はれま」のお徳用パック、一保堂のほうじ茶のお徳用パックなど味は変わらずお買い得な商品があって昔はよく買っていたが、それらは見つけられなかった。
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それにしても金閣寺銀閣寺を連続して訪れたことはこれまでなかった。銀閣寺は金閣寺と似た寸法なのかと思っていたが遥かに小さく、金閣寺が三層建築に対して二層でしかなく、対にして語るほどの類似性を感じなかった。間違っても銀閣寺は金閣寺の色違いなどではなく、「ナイアガラの滝」と日本人だけが東洋のナイアガラと呼ぶ「吹割の滝」ぐらい異なる。

 

それにしても拝観チケットをお札にするのはとても良いアイデアだと思う。京都の全ての寺がそうしたら多くの人の収集癖に火をつけると思うのだが。

陶蟲夏草鉢「象蟲」

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宝石象虫の陶蟲夏草一輪挿し。
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右前脚が欠損しているのだが、単に造形ミスのように見えてしまう。
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中、後肢なども欠損させて風化した亡骸なのだともっと主張させるべきだった。
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脚を欠損させるならばもっとわかりやすくしないとダメだ。

白い釉薬翡翠色を垂らして滲ませた模様は面白そうだ。まるで日本画の垂らし込み技法のよう。これを宝石象虫の背中の模様のように作為的に作ってみたい。

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習作としての学びはあった。

社会科見学旅行 鹿島神宮、鹿島臨海工業地帯、銚子港、犬吠埼、屏風ケ浦

社会科見学旅行は案外楽しいかもしれない。子供も多弁になり、たくさん聞いてくる。たくさん話す。

・もう一つの要石のある鹿島神宮参拝

・日本の化学工業と経済を支える鹿島臨海工業地帯を見学。夜景が素晴らしいらしい。

・港公園で工場を背景に花見

・日本一の水揚げ高を誇る銚子港見学と海鮮を味わいつつ体験と勉強

犬吠埼で休憩

・屏風ケ浦の地層で火山灰の層や関東ローム層をこの目で見る

・なんちゃって潮干狩り体験

 

 

いつもは5時、6時に起床する子供たちが7時過ぎまで寝ていた。それなりに疲れたのだろう。

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8時に出発して鹿がシンボルの鹿島神宮へ。

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昨日の香取神宮に続いてもう一つの神宮、鹿島神宮に参拝。令和の大改修で本殿は覆われており写真は撮らず。参道の土産屋や茶屋の風情、境内の厳かさなど様々な点で香取神宮のほうが見応えがあったように思う。鹿島神宮のほうが香取神宮よりも知名度があると私は思っていたが、香取神宮は一之宮なのでそういうものかもしれない。
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達筆な御朱印。和魂と添えられている。ご朱印帳も鹿が描かれており惹かれたが我慢。
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朝早くに出発して朝食を食べられていなかったので境内の茶屋で柚子味噌蒟蒻を一皿づつ食べた。体が温まる。何故か境内の茶屋のメニューにはラーメンもあったが昼からしか出せないらしく、次男が残念がっていたのでちなみに神社の神官は「ネギ」というのだと教えたらやたら喜んでいた。
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鹿島神宮から鹿島臨海工業地帯を一望できる港公園に立ち寄った。その道中も白煙を吐く巨大な煙突が林立して壮観だった。花王、カネカ、三菱ケミカル三井化学クラレAGCなど日本を代表する企業の化学工場が並ぶ。

 

夜景がシビれるほど美しいらしい。鹿島石油東門というのが絶景ポイントの筆頭だそうだ。

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https://www.yakei-photo.jp/matome/kamisu/

から引用。いつか、夜景撮影ツアーなんてのもしてみたいものだ。


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Y字型の掘り込み式の鹿島湾のYの三分岐の付け根部分にある港公園へと行った。息子が調べて是非立ち寄りたいと要望した公園だ。緑の芝生と対照的に湾を挟むと巨大な工業地帯が見渡せる。
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かつては延々と砂浜の広がる鹿島灘。風光明媚だったのかもしれないが経済性の低い砂浜地域を民間から買い上げ、移転させ、広大な範囲に現在では160社に至る企業を誘致した。
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公園には展望台があって登れば工場地帯を一望できるのだろうが老朽化により危険だと判定されたそうで2021年に閉鎖されてしまったとのこと。残念。一公園の設備としては相当なお金がかかっているが、国家プロジェクトで生み出された日本の化学工業の屋台骨の鹿島、神栖ならばこそなのかもしれない。
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公園内には桜が多く植えられており見事だった。子供が写った写真しかなかったので割愛。
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鹿島臨海工業地帯から車で30分ほどの先にある銚子港へ。日本一の水揚げ高を誇るそうで、その水揚げ風景を見たいとの息子の要望に応えた。しかし残念ながら昨日は大雨で船は漁には出ておらず、数隻の小さな漁船が泊まっているだけだった。それでも近くで立派なヒラメやホウボウ、フグなどが水揚げされるのを見学できた。

昨年だと巨大な漁船から巨大な網で隣接したトラックに落とすように水揚げ、荷積みする豪快な光景を見られたらしい。
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銚子ポートタワーに戻る。
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ポートタワーの上からは銚子市漁港が眺められ、タイミングが合えば望遠鏡で巨大な漁船の水揚げの様子も見られるらしい。今回は全くの不発だ。

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本日は2隻の水揚げ予定があるそうだ。バチマグロ10本、ダルマ109本、ビンチョウマグロ1000?もしかしたら巨大漁船が来ると言うことなのか。水揚げの時間がわからないのでいつまでも待っているわけにもいかず出発した。
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もう10年以上も前の「アマガミ」というPS5のゲームとその派生アニメの舞台になったそうでアニメ聖地巡礼の設備が空のまま佇む。
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そして眼下にはウオッセ21という水産物即売センターが歩道橋で連結されている。
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カメラを止めるなの清々しいパクリ。銚子電鉄はいつも止まりそうな崖っぷち経営で開き直りPRをしている。
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2023年の海上保安庁のPR大使は篠田麻里子さんだそうだ。いろいろと時流を把握しておらずその感度の低さに突っ込みたくなる。
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今朝の4時に水揚げされたイカとネギトロの海鮮丼を激推しされたので頼んでみた。呼子イカのように透明ではなく既に白くなっているし鮮度も味も半信半疑だったが甘みもあり美味だった。

 

今年は水温が低かったそうで、低温で動けなくなったイワシが大量に浜に打ち上げられていたり、かなりの不漁だそうだ。水温が1℃下がるのは人間の体温が10℃下がるぐらい体に負荷がかかるのだとおばちゃんは語ってくれた。さらに福島原発の汚染水の放出是非のニュースもあり悩みは尽きないという。ウオッセ21の中からは既に半分のテナントが出ていってしまっている。いろいろと考えさせられる。

夏にはクマノミなどの熱帯魚も潮に乗って遡上してくるのだと言う。すぐ死んじゃうだろうけどね、とおばちゃんは少し投げやりに言う。
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街並みを見渡すと作りもそんな立派な家は少なく、老朽化して古色は出ずに見窄らしくなってしまっている。遠くからでも錆が目立つ。高度成長期の、バブル期の富はどこへいってしまったのか。佐原のように栄華が立派な家並みとなって残るようにはならなかったのが残念。
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犬吠埼へと立ち寄ると犬吠埼テラステラスという新しい商業施設ができており、オシャレなカフェ、レストラン、網に寝転がれる展望席など時流に乗ったデートスポットのような場所になっていた。
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銚子ポートタワーを思うと老朽化し切る前にいかに再投資して活性化を図るかが難しいことなのだろうと察する。
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さらに車で5分ほど進んだ先の屏風ヶ浦ジオパークへと足を伸ばす。かなり遠浅の砂浜があり、大勢の人が貝を掘っていた。アサリかと聞くとハマグリだと言う。アサリに見えるがそうなのか。
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しばらく放っておくと砂に潜っていく。
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その先には10kmほどの地層を露わにした海岸線が続く。これが屏風ヶ浦だそうだ。
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白い層は火山灰だそうで、その本数を数えると如何に噴火による被害に見舞われてきたかぎわかる。上部の黒い土の層は関東ローム層だそうだ。

 

私自身もあれこれ学習しながら昔に得た知識を総動員して子供たちとたくさん話をした。私は教科書の言葉を丸暗記しただけで終わってしまったことがほとんどだが、子供達は「ああ、あの時に見たあれね」と思い出す引き出しが増えてくれたのではないだろうか。

 

・府中競馬場1日見学

農林水産省の収入源と競馬場、馬主や金持ちと博打に狂乱する人間模様、確実に胴元が儲かる構造とそれゆえの豪華な設備、素晴らしい造形美のサラブレッド、予後不良や成績不振の馬の行く末、それら全て含めた人間のエゴを見聞きする。総論、ギャンブルは楽しくて怖い。

 

・田植え体験

農業体験型民泊で田植え体験をする。田起こし・代掻き・田植え・草取り・稲刈り・脱穀。農薬の問題とか、里山の生態とか、タガメなどの昆虫の絶滅危惧とか、食料自給率が高いとロシアのように好き勝手に振る舞えるけれども日本は。。とか、政治と農家と一票の重みと何故地方高齢者向けの政策ばかりになるかとか、政治家の地盤と生活拠点のずれとか。難しいことはさておき、うまい野菜はうまい。

和歌山3日目。加太、黒江、和歌山市街。

月曜日の午前から加太の海の見える屋上露天風呂は極楽。

淡嶋神社は必見の2万体以上の人形供養の神社。

黒江の漆器産業は面影だけでほぼ滅んでいる。

在和歌山の標本制作会社を知る。https://amphillc.com/

西国三十三カ寺の紀三井寺に参拝。痛恨の御朱印帳忘れ。

スナックデビュー

 

行きそびれた次回訪問したい場所

ラピュタ的砲台廃墟遺跡のある友ヶ島

紀州東照宮

和歌山城

 

 

二日酔いで頭が重い。うだうだとして結局は宿を9時に出た。

 

11時の加太港発、友ヶ島行きのフェリーに間に合おうと車を急いだがなんと今日は天候不良の為に欠航とのこと。行けなくなると途端に大きな何かを流したような気がしてくる。煉瓦造りの砲台跡のある無人島で、宮崎駿天空の城ラピュタ」の舞台のような景観として人気らしい。遺跡廃墟好きとしては行きたかった。

 

気分を切り替えて漁港の目の前にある温泉旅館の日帰りプランを利用。豪華海鮮御膳と温泉入浴で3000円の昼間からの贅沢。

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食事を終えて屋上の風呂へ。月曜日の午前中から温泉旅館の風呂に入る人などいないことに気付かされた。真っ当な人は働いているのだ。f:id:mangokyoto:20220510075407j:image

誰もいないので撮らせてもらった。

 

こんなに気持ちの良い室内風呂もなかなかない。三方が大開口の窓で大変明るい。右手には海水浴場の砂浜、正面には島々、左手下には漁港が眺められる。
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露天風呂よりも長居したくなる室内風呂だった。

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ここから車を返して和歌山市の南、黒江へ。なんでも漆器の産地だというので何か面白いものがないか探しに行った。
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黒江ぬりもの館という古民家カフェへ。季節柄、大きな鯉幟が架けられていた。
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2階のイベントスペースは今現在は使われていない様子。
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窓から見える鯉の顔が郷愁を誘う。
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珈琲善哉を5分ほどで掻き込む。
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そして隣の池庄漆器店へ。

 

会津塗、山中・輪島塗と合わせて三大漆器と呼ばれた紀州漆器は産業としてほぼ壊滅していて残念。元々は食器などの大衆漆器が中心だったので殆どがプラスチック塗りに置き換わってしまい、木地の漆器は作家モノが僅かに作られるだけ。ここ池庄漆器店でも売られている漆器は殆どが他の産地のものだ。山中、輪島、会津などなど。地元の漆器は殆どないんですよ、とのこと。
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こちらが復刻させようと試作してみた絵付けの6寸の漆器皿だそうだ。6000円也。木目を垂直か水平にしてくれれば良いのに。


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良い色なんだがな。他の産地の漆器は都会の店でも買えるわけで、わざわざ和歌山で買う気は起きない。
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漆器は期待外れだった分、代わりの慰めとなったのが何故か池庄漆器店で売られていた骨格標本3Dプリントレプリカ。

アンフィ合同会社(https://amphillc.com/)という博物館に標本レプリカを納めている熱い会社があることを知った。
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3Dプリントされた精緻なニホンジカ骨格標本

「本物の骨を一つひとつ3Dスキャンし、全152パーツの3DモデルをZBrushで交連させて完成させた本格的な全身骨格モデルです。出力には光造形式3Dプリンターを使い、歯や手根骨など細部まで再現しております。」

欲しい。7500円か。どれか手持ちの植木鉢を売れば買える。

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この威嚇体勢の標本など素晴らしい。私の今年の誕生日プレゼントにしてもらえないものか。


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黒江からの帰りがけに紀三井寺に寄ってみた。何たる阿呆か、私は和歌山にも西国三十三ヶ寺の寺院があることを忘れていて西国三十三ヶ寺巡礼用の御朱印帳を持ってきていなかった。書置きは好みではないが、またいつ来れるかもわからないので頂いていくしかない。
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231段の急峻な石段がある。
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2万体人形供養の淡嶋神社

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フェリーは欠航しているので友ヶ島には行けなかったが、代わりに温泉に入って美味しい魚介御膳を食べて。想定外の事態を楽しむ能力には長けていると思っている。全く調べていなかったがこんな立派で特異な神社にも出会えた。
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全国から2万体以上の人形が供養に集まるという淡嶋神社
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立派で美麗な日本人形も並ぶ。ファッションショーのようだ。
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御目見

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おかっぱの童子人形は見方によっては少し迫力がある。髪が伸びる人形もいるそうだ。

 

神社としてはホラースポットとして扱われるのは不本意なのだそうだ。大勢に見てもらえ、愛でてもらえるのが供養になるのだそうだ。
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国外からのお面も多数
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蝦蟇大合戦。

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山形の祖父母の家にもとても似た蛙が軒下に置かれていた。懐かしい。

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狛犬、シーサーの大群。
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布袋さんだけでこの数。微妙な様式の違いなどを見比べるのも楽しい。
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狸大集合。左上の全身が黒い狸など好みだ。
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招き猫も福を招く左脚を挙げているものや人を招く右脚を挙げているもの、両手挙げまで様々。
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黒猫も案外いるものだ。黒は魔除け、厄除けだそうだ。
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翁媼だけが並ぶ一画。夫婦円満と長寿の縁起物で引出物によく贈られたそうな。
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随分と時代物の雛人形はお堂に収まっている。
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やはり怖いねえなどと冷やかすように見るものではなく、美しいねえ、どこぞの家庭で長いこと愛でられたのだねえと鑑賞して敬い労うべきなのだろう。
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購入した人はうっとりと見惚れて迎え入れたと思うのだよね。粗大ゴミなどに出して処分するのは忍びない愛された人形が集まっていると考えるべき。

 

呪いの人形なんてものもあるのかもしれないが愛されて供養される人形の数に比べれば多勢に無勢だと思われる。

 

陶器で人形もどきを造る身としては眼福な神社だった。

高野山宿坊 櫻池院

もうすぐ900年の古刹宿坊

武田信玄公の位牌のある菩提寺

重森三玲枯山水庭園

精進料理、朝の勤行

小型犬を泊められる

 

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あまり調べずに空いている部屋があるということで選んだ宿坊は6年後に900年を迎えるという高野山の中でも珍しく創建当時の建物が今も焼けることなく残る古刹の宿坊だった。
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壇上伽藍の目の前にある。
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高野山奥の院には多くの戦国大名の墓が建てられ供養されており、この櫻池院では武田信玄公と家臣達の位牌がある。200とも言われる寺院それぞれに戦国大名が縁を結び供養されているそうだ。
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重森三玲による枯山水の石庭。
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朝6時半から本堂での御勤めに参加させて頂いた。天井には隙間なく灯篭が吊られ、内陣は眩い黄金色の秘仏の収められた厨子、蓮の花。左右には立派な位牌が並ぶ。

 

 

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足利義満の足利家、武田家などの歴史的な家から今はクボタになったクボタ鉄工株式会社の社員物故者の過去帳もある。定年後寿命を全うした人だけでなく勤務中に亡くなられた人など社員だった全ての人を供養しているそうだ。昔と違って数年だけ在籍して転職した社員も含まれるのだろうか。おそらくそんなことで除外せずまとめて供養するのだろうな。
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日々変わりゆく生活の中で
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肉も化学調味料も使わない精進料理。
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素朴で丁寧な味付けで美味しかった。白米をお代わりできるのでお腹は満たされた。胡麻豆腐、隠元豆の味噌和え、
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干した高野豆腐を水で戻して揚げたもの、酢の物、若竹煮、伊予柑などなど。

 

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和歌山初日 霊場、宗教都市、高野山。

高野山霊場

杉の巨木林の合間の苔むした石塔

五輪塔と鳥居

宗派も出自も問わない供養の霊場

日本の大企業の物故者供養塔も数多い

世間が忘れようともここだけは忘れずに供養しつづけてくれる

聖地でも血生臭い争いは避けられず

かつては3万の僧兵で武装しており比叡山同様に信長に滅ぼされかけたが本能寺の変後に秀吉に服従して生き永らえた

明治政府の命令で統合されるまで学侶、行人、聖の三派に別れ、時に諍いあってきた

聖域だけれどもその歴史からして無条件に僧や権威を絶対視すべきでも無いとも思う

 

 

随分と久しぶりに新幹線に乗った。幾度となく群馬と上野、神戸や京都と東京を行き来してきたはずなのに新幹線が怖いと思えるほど速かった。皆が当たり前に新幹線に乗っていることが凄いと思えてしまう。

さて、リニアモーターは必要なのか。こんなに速いのに既に何十年も昔からの技術なのだよな。新大阪までさらに短い時間で行けたら便利なのかもしれないがテレワークやらWeb会議の普及でそこまで人が行き来する需要が維持されているのかも不明。10兆円以上の総工費は有意義なのだろうか。

 

朝5時起きで地下鉄丸の内線で東京駅に向かい新幹線で新大阪へ、そこから御堂筋線南海鉄道を乗り継ぎを重ねて6時間かけて高野山駅に到着。さらにバスに乗って奥の院から高野山巡りを始めることにした。

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奥の院は地域全体が巨大な墓地だった。弘法大師の眠る地に身を寄せるように戦国時代の大名から近現代の企業、個人までの供養塔や墓所が集う。
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地=四角、水=円形、火=三角形、風=半月形、空=宝珠形の五輪塔、しかもなかなか見たことのないような巨大なものが林立する。
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苔むした古いものは殆どが江戸時代初期の大名家のもの。秋田佐竹家。

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加賀前田利長ともなると家ではなく個人で建つらしい。加賀前田家が百万石を超えたのも利家の長男、利長からで利家は関ヶ原の前に亡くなっている。ある意味、徳川家に次ぐ大大名であることを考えると納得がいく。
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巨大な五輪塔が並ぶその中で武田信玄と勝頼の墓は簡素で慎ましい。巨大な供養塔を建立する財力のある家そのものが無くなっていたからかもしれない。

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理不尽や不運に絡め取られるようにして翻弄され、亡くなっていった戦国武将達、体制の勝者側、敗者側、分け隔てなく弔われている。

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この巨木と苔むした石造りの取り合わせは水槽の中に取り込めないだろうか。
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忠臣蔵の題材となった赤穂事件の浅野内匠頭墓所。遺体は高輪泉岳寺に埋葬されたそうなのだが、多くの大名同様に高野山にも分骨され供養されているようだ。
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樹齢1000年を超える杉の大木が立ち並ぶ合間に苔むした巨大供養塔が林立する。実に私の好みな空間。
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結城秀康の場所。徳川家康の次男として生まれながらも豊臣秀吉の養子に出され、秀吉に実子ができると結城家へ養子に出された苦難の人。
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高野山は天下の総菩提所と呼ばれ、宗派を問わず供養される。関東大震災、兵庫淡路大震災、東日本大地震などの天災の被害者の供養塔もある。

日々移ろいゆく生活の中で東日本大震災のことも熊本地震の被害者のことも私の意識からは全くもって消えていた。ここ高野山で今も昔も彼らのことが忘れられずに供養され続けていることなど全く知らなかった。

 

世界平和も祈祷されているが今もウクライナでは民間人が拷問され、レイプされ、殺されている。この高野山の山奥での祈祷があってもなくても事態は変わらないだろう。祈りの実効効果なんてのは無いと思っている。

多くの戦国大名も、あの武田信玄の家臣達も高野山に足を運んで供養し祈願して、その後戦に負け根絶やしにされた。祈祷に効果があったとは思いがたい。高野山の祈りは何の意味があるのか。

 

殆どの人が日々、いろんなことを忘れながら生きているのに対し、特別な人、身近な人を失った人はそうはいかない。世間から忘れられていくことに仕方無い気持ちと寂しさを覚えるだろうが、高野山で忘れられることなく供養されていることは残された人にとって大きな救いになるのではないか。宗教の祈りは現在や未来に積極的に働きかける存在では無いのかもしれないが、起きた惨状や辛苦の癒し手なのか。

そんなことをぼんやりと考えていた。時間が経ち、自分の環境も変わればまた私の認識も変わっていく気がする。

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シロアリ駆除業者によるシロアリ供養まで宗派も組織も問わず供養される。日産自動車パナソニック、ヤクルトなどなど数多くの企業の物故者供養塔もある。


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山椒アイスクリームを食べ歩く。山椒の粉を普通のソフトクリームに掛けて食べる。これなら自宅でも山椒を粉にしてハーゲンダッツに掛けることもできる。


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金剛峯寺へ。

 

内覧できるのだが、目ぼしい史跡として豊臣秀次自刃の間がある。秀吉の姉の子である秀次は天正19(1591)年、実子のいない秀吉の養子となり、関白を引き継いだ。しかし秀頼誕生から2年足らずの文禄4(1595)年7月に失脚。高野山へ追放され、同月15日、金剛峯寺の前身である青巌寺で切腹したとされる。豊臣秀吉の命による切腹ではなく秀次による抗議の切腹だった説もあると言う。

秀吉が生母の菩提寺として寄進した寺で秀次が切腹した後で秀吉は秀次の妻子を処刑している。これは生母の菩提寺を汚されて立腹したからだとの新説も唱えられているそうな。天下統一支配者の後継者の妻子ですら殺される側に回る先の読めなさと理不尽さ。
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探幽筆の襖絵など鑑賞できるが撮影禁止。大広間を飾る狩野法眼元信筆の金箔押しの群鶴図が素晴らしかった。

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千住博画伯の奉納した襖絵は写真撮影自由とのこと。
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見慣れた滝の襖絵。
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この写実性のある断崖の襖絵は初めて見た。
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立体感がリアルすぎて奇妙な感覚に陥る。
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歩いて数分の壇上伽藍へ。ここは重要な法事で僧が集まる堂だという。
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高さ50m。私の想像よりも遥かに大きかった多宝塔。内部は5如来坐像と16の柱に描かれた菩薩が立体曼荼羅を構成する。
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僧侶の質の劣化を憂い、僧侶の研鑽を奨励するために御最勝講義(みさいしょうこう)と呼ばれる問答、論議が行われたという。右学頭、左学頭という最も優れた僧が選出され、寺院の名誉を掛けて行われる。

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ここ山王院で前日から夜が明けるまで延々と議論が交わされ、見識の深い僧の判定によってどちら側の僧の弁が正しかったかが決められたという。

議論に負けた僧は高野山からの下山を強いられたそうだ。僧としてのキャリアの終わりに等しい。

相手を恐れて議論の前に相手を襲って講義自体を成立させなくするような事件もあり、顔を隠すようになったそうだ。

議論に負けるも下山を受け入れられず自殺する僧もいたそうな。

そこまでの過酷な行事は誰の発案なのだろうか。堕落を正すためとは言え極端。

 

現在でも議論の儀式は続けられているそうだが古語でのシナリオに沿った再演でしかないそうだ。現代語で激しく議論したら良いのに。

現代における多様化した社会における密教の存在意義を。

高野山の寺院が学識や能力ではなく血統で継がれるように変わったことの是非を。

遺伝子工学や中絶の是非を。

近世まで女人禁制だった高野山の歴史に照らしたLGBTQの是非を。

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かつては鎌倉幕府の庇護を受けた将軍家菩提寺の金剛三昧寺は禅宗寺院だったり、それに対して金剛峯寺真言宗だったりと宗派対立もあったらしい。時の権力者の庇護を受けた政治争い、代理戦争。

最近では寺の資産を金融商品で運用して損失を出している時期もあることが発覚して管長の不信任決議がなされたりもしている。
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伝統が守られる厳かな霊場であり弔いの場ではあるけれども、人間はどこまでも人間なのだとも思わされる。
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カモシカが現れた。その距離、10m足らず。こんなに間近で見たのは初めてかもしれない。ずっとこちらを見つめていた。
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日が暮れてくるとまた神秘的な雰囲気が増してくる。

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日が暮れてライトアップされる大塔。星がよく見えた。

冬には-10℃になる修験の場でもある。修行僧は暖房もなく、始終赤切れに悩まされ、動物性蛋白質も食べないので治癒されない指先は黒く変色していくのだという。
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日に108回撞かれる梵鐘。金剛峯寺の僧侶が撞くという。本山があって周囲の塔頭の僧侶が交代でお勤めしているのではなく、金剛峯寺所属の僧が全て執り行っているそうだ。
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御詠歌もお願いしたのだが流れるようなため息の出る達筆。
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