インターメディアテクの魚学展

子供を連れて東京駅前の東京大学所蔵の科学文化遺産を無料展示する施設「インターメディアテク」へ。

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インターメディアテクにクリスマスツリーを作らせるとこんな感じになるらしい。苦笑。

季節によって展示内容もいろいろと変わるらしい。ますます素晴らしさに感心する施設だ。
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あちこちの胸像がサンタ帽を被ってお出迎えしてくれている。ニッツェー先生もよく似合う。
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モーセ像にもよく似合う。サンタには鋭すぎる視線ではあるが。

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特別展で19世紀の日本の魚の精密な博物画が掛軸に仕立てられたものが無数に展示されていた。
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どれだけ近くに寄ってみても細かく美しく描かれている。
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こんな魚の軸を掛けて催されるお茶会を思い浮かべるとシュール。
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たまらんね。
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外観、骨格を正確にえがいている。
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ここまでの細密画が日本の魚を題材に描かれていたとは知らなかった。感嘆が止まらない。
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窓際には丸の内の一等地のビル群を背景に魚の骨格標本が空を泳ぐ。
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煉瓦造りの東京駅を背景に泳ぐ姿も乙。

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東京駅前徒歩1分の好立地にある、私が知るところの日本で最高峰の無料博物館「インターメディアテク」。

博物クリスマスにて目黒芳枝さん、奥住陽介さん、アトリエpuchuco、さとう甲さん

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浅草で催されていた博物フェスティバルの冬イベント版、博物クリスマスに行ってきた。
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夏休み中に日本科学技術館で行われる博物フェスティバルに比べると規模は1/6ぐらいかもしれない。ゆっくりと見て回れる。
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出店者達からの作品が吊るされていた。出店者同士で交換会でもするのだろうか。
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オオムラサキの幼虫の蛍光ソフビが目を惹く。
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アトリエpuchucoさんの作品の技術力の高さに圧倒された。手回しカラクリで取手を回すと地中から土蜘蛛が這い出して蟻を捕まえる。7万円代。欲しいけれども私の特別な誕生日なりでおねだりしないと迎えられない価格。こういう時に金持ちになりたいと思う。
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オオスカシバがホバリングして花の蜜を吸う手回しカラクリの作品が度肝を抜かれる作品だった。美術館に飾られるレベルの超絶技巧。
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ほかにもペンダントトップで取手を回すとウツボカズラからカエルが顔を出す。

 

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さとう甲さんというプロの造形師さんによる超絶写実的なハンミョウ。粘土で原型を作り、鋳型を依頼して鋳造したのだそうだ。
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佐渡島産のミヤマクワガタを元に粘土で半年間かけて塑造し、それを縮小し鋳型師に鋳型を作ってもらったという超絶技巧ミヤマクワガタ。お値段はなんと20万円超。もうここまでくると美術館に収蔵する水準。
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1万番台の鑢で磨き込んだという鏡面仕上げのミヤマクワガタ。これは手放せない非売品だという。その気持ち、わかる。
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腹部も手抜かりなし。金属価格が円安の影響もあって高騰し続けていると嘆いていた。


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海洋生物をガラス玉に閉じ込めたオーナメントを制作されているガラス工芸作家さんの目黒芳枝さん。
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ウニを作ったところウニにはアリストテレスの提灯と呼ばれる口吻があることや五放射相称があることを指摘され、それらを再現したらそのお客さんが買ってくれるようになったという話が印象的だった。

博物フェスティバル、博物クリスマスのお客さんはなんとなくの「カワイイ」「キレイ」「ユニーク」な生物モチーフ雑貨ではなく、クワガタというだけでは足らずミヤマクワガタであるとかメタリフェルホソアシクワガタなど属科ではなく品種まで同定できるレベルの生物への敬意と掘り下げが求められているように思う。
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どうやって閉じ込めているのだろう。

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そんなわけで色数も多くてキレイなクラゲやイカは見るからに素敵だったが、この深海魚のホウライエソをお迎えした。なかなかお目にかかれないモチーフではないだろうか。
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牙を剥いた深海魚らしい凶悪そうな顔つきと目の愛嬌、角度によっては空に浮かぶシャボン玉の中に閉じ込められて泳いでいるような躍動感が素晴らしい。

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素敵な銅や錫の蟲をモチーフにしたブローチを沢山作ってらっしゃる作家さんで品種同定できる作り込みの一方でゆるキャラらしいデフォルメもされていて愛嬌がある。
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私はブローチを買ってもつけないので、このチンアナゴのフォークとスプーンをお迎えした。

 

 

私の造る作品群との親和性という点で蟲雑貨を増やしたいと思ったのに、お迎えしたのはホウライエソのガラス玉とチンアナゴのカトラリーという海洋生物ばかり。心動かされるものは仕方がない。

 

カエルやトカゲモチーフのがま口財布やバッグ、海洋生物モチーフの様々な工芸雑貨は沢山あるが蟲モチーフはTシャツやイラスト、絵葉書などの平面的なものか蟲そのままの標本が多く、立体的な工芸雑貨は少ない印象。あったのは金属工芸の7万円の機械仕掛けの飾りか20万円超の超絶技巧金属模型でどちらも猛烈に欲しい作品だがおいそれと手を出せる値段ではなかった。

 

500〜700円のステッカーや缶バッジもあるが、1000〜3000円のカトラリー、3000〜6000円のアクセサリーやTシャツだけでなく15,000円以上のガラス工芸や3万円から7万円近い工芸品、果ては20万円以上の工芸品も。

南伊豆国民休暇村泊して初のヒリゾ浜、珊瑚礁熱帯魚めぐり

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コロナ禍で長らくご無沙汰していた南伊豆国民休暇村に4年ぶりに来た。9月の連休は直射日光は和らぎつつも暖流のおかげで泳ぐには十分に水温が高いので穴場だ。
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遠浅の弓ヶ浜で泳ぎ、砂の城を築いて遊ぶ。
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大きくなったな。兄は無駄にプール用の帽子を被っている。子供達の荷造りは子供達に任せているので余計なものを持ってきていたり肝心なものを忘れていたり。一度、弟が代えのパンツを忘れて兄のパンツを借りていることもあった。
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伊豆国民休暇村の素晴らしいところは目の前に遠浅の美しい砂浜。そして徒歩数分で宿に戻り温泉で海水を洗い流せる。

そして足湯もある屋上のハンモックで涼むことができる。f:id:mangokyoto:20230917163242j:image

3度目の南伊豆国民休暇村泊だが、子供達も泳げるし体力もついてきたので翌日はかの有名なヒリゾ浜へ。渡し船でしかいけない岩場だが、熱帯魚が豊富に見られる名スポットらしい。
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狭い陸地に所狭しとテントが並んでいて難民キャンプかという光景。
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岩礁に囲まれているおかげで波は殆どなく、ところどころ岩礁に登ってやすめたりと天然の熱帯魚鑑賞パーク。
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港でライフジャケットもシュノーケルも借りられ、シャワーやロッカー、食堂もあるので快適だ。

砂利の浜から海に入り20mも泳げばそこら中に魚がうじゃうじゃ。
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珊瑚があちらにもこちらにも。そこまで多くはないがイソギンチャクも見られた。
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ルリスズメやピンクなのやら黄黒の昨今アレしたプロ野球チームのユニフォーム色の魚やら。
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海の団子蟲と呼ぶべきか、海のGと呼ぶべきか。立派なフナムシも鑑賞できた。
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砂浜で遊ぶもよし、熱帯魚を見にシュノーケルを楽しむもよし。国民休暇村の中で一番満足度が高いとの思いは子供が大きくなっても変わらず。
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少し早めに宿に戻り、温泉で身も心もリフレッシュ。

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17時15分から早めの夕食ビュッフェ会場へ。
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4年ぶりだが食事は変わらずに美味しかった。お造りにはサザエの刺身、イカ素麺、鯵のたたき、タイ、鮭など見た目ではわからないが美味しい。ビュッフェでここまで刺身が美味しい宿はそうはない。お造りの皿を何度もお代わりしてしまう。
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ひたすら目の前で握られ続ける寿司。妻は金目鯛の握りだけをひたすら食べていた。

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サザエの壺焼きもエンドレス。ほんのりとしたワタの苦味も美味しい。
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日本酒の飲み比べやクラフトビールなど追加注文できるお酒も美味しそうなものが揃っているが控えた。
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撮ってはみたものの二日目はローストビーフは全く食べなかった。もう魚介類、とりわけ素材勝負の刺身やら寿司やらを魚介類を食べるだけでお腹を満たしたくなる。
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金目鯛の潮汁、金目鯛の煮付け、海鮮グラタン、エビカツなんかも美味しかった。

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早朝、電動自転車を借りて周辺を走り回る。
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高低差のある海沿いの道もなんのその。気持ちが良い。電動自転車の踏み込むと加速する感触が子供達には初めての経験だったようで楽しかった様子。
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3度目でも満足度は高く、4度目も来そうな予感のある宿というのは大変珍しい。

アート&アクアリウム 神戸アトア

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神戸の友人に2年前に開館したばかりだという神戸港の近くにある水族館に連れて行ってもらった。この球体の水槽が印象的な美しい展示で評判の水族館だ。
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正直、泳いでいる魚はとりわけ珍しいわけではない。しかし水槽の形状がどれも目新しく工夫されていて魚たちや環境を如何に魅力的に展示するかが考え尽くされている。
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アカメアマガエルの可愛らしさよ。完璧な造形をしている。
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壁に産みつけられた卵は中にすでにお玉杓子が視認できるまで育っており、卵の中をぐるぐると動く。もう数日で卵を破り水面に落ちていくのだろう。
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揚げると美味しいカサゴ。フランス人もこれ、バターソテーにしたいと呟いていた。
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チンアナゴよりも華やかな魚。
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アイドル、チンアナゴ
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イグアナも直近で見ると迫力だ。
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ハダカデバネズミの水槽は普段は地中で暮らすその生態に配慮してか、真っ赤な照明。赤外線や赤色が見えないのだろうか。ハダカデバネズミといえば貴志祐介氏の「新世界」という強烈な小説を思い出す。
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フロアの水槽の合間をゾウガメが散歩していたりするのが面白い。体重は80kgもあるそうで、迂闊に踏まれると大事故。
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あちこちが絵になる。

写真撮影が趣味の人は1日いて楽しめる。
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レッドテイルキャットフィッシュという特別に珍しくもない鯰も数匹で泳ぐ様は新鮮。魚の珍しさではなく見せ方の巧拙なのだよな。
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この顕微鏡が扱いやすさといい、解像度といい素晴らしかった。水族館と関係ないが様々な標本を拡大して観察できる。このモルフォ蝶の構造色の様子などナショナルジオグラフィックの写真ばりに美麗に映し出せる。
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欲しい。
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ミヤビという和風なフロアは外国人が偏見で思い描くゲイシャ、キョウトのイメージで脂っこいというかねっとりケバケバしすぎな気がする。侘び寂び、綺麗錆、優雅なコーディネートにして欲しかった。
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ありきたりな赤や朱ではなく仁清のような青や浅葱色で清涼、清浄な和の世界を魅せて欲しかった。
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チームラボ的デジタルアートも次のステージを見せて欲しい。単なる一般客のわがままか。
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妖しく光るイソギンチャク。エプソン水族館のように酒を飲みながら歩いて回れる夜の部を用意して欲しい。
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この半ドームがたの水槽は素晴らしいと思った。透明度が高く、上から見下ろすことも横から眺めることもできる。
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港だ。

 

行く価値のある美しい水族館だった、

寿々木園でのんびり金魚釣り

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晴れたこんな日には金魚釣り。
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この透明度の低い池の中に夥しい金魚が泳ぐ。
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杉並区の某別の釣り堀はろくに魚がいなかった。
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しかしここ寿々木園は目の前で金魚が投下されていく。
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これがとっておきのアタリだそうだ。買えば1匹2万円はするという大物たち。
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あの黒はもう誰かが釣ったのか、誰がいつ釣った、でもまだ更紗のほうは釣れてないはず。そんな会話が常連さんの間でしばらく続くはず。

 

晩秋の静かなR座読書館

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静かに考え事をしたい雨の日には、高円寺にはR座読書館がある。

常連客も一見客も水槽のある席が特等席だとみんな思っている気がするが、この日は運良く空いていた。

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手ぶらで訪ねて本棚の本をパラパラめくるのも良い。
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本棚の狭間には芥川龍之介コーナーなんかもある。

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文豪のテラコッタが静かに考えに耽っている。こういう人物像を作れるようになりたいと切に願う。

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ケニヤやらタンザニア キリマンジャロを頂くことが多いがこの日はカプチーノ

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目の前の緑の小世界を覗き込みながらカプチーノを啜る。
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蝦が休むことなくチミチミと何かを鋏で摘んでは口に入れている様を眺めるのが癒される。
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PCを開いて仕事をするのも咎められない。客は思い思いに本を開いたり、参考書を開いたり。
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RIP 緋泥鰌

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私の愛した緋泥鰌。4年以上の付き合いになるはずだ。
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愛嬌のある顔をして毎日、元気に泳ぎ回っていた。
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先日、水槽の中にいなかったので嫌な予感がして探し回った。外付けフィルターの取水口に挟まっていないか。いない。まさか水槽から飛び出したのではないか。いた。
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水槽の下の木床の1mほど先で乾涸びていた。何か驚くきっかけがあって水面から飛び出してそのまま水槽の外に落ちたのだろう。それとも自由になりたくて決死の逃避行を図ったのか。私としては毎日、良質な魚肉主体のフィッシュミールをあげていた。広々とした水槽に飼っていた。快適な環境を与えていたように勝手ながら思っている。孤独な緋泥鰌は伴侶を求めたのか。
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飛び出して数分ならば強靭な泥鰌のことだから元に戻せば助かったのだろう。私のいない時に、長いこと床の上でのたうち回って苦しんだに違いない。申し訳ないことをした。

 

乾涸びて沈黙する緋泥鰌を前に硬直していたら、足元をマンゴー殿がすり抜けていき、緋泥鰌をパクりと食べた。コラッと叫ぶも丸飲み。

 

泥鰌泥鰌と変わらないわけで、人間も食べる魚なわけだから犬からしたら泥鰌の一夜干しでしかない。私がどんなに愛でて育てていたとしても、マンゴー殿からは「これ餌でしょ?食べないならあっしがいただきますわ」と言うことなのだろう。マンゴー殿に、緋泥鰌も食用魚であるという純然たるもう一つの事実を突きつけられたというか。

 

愛すべきペット魚は愛すべきペット犬のオヤツになってしまった。庭に埋めて弔うよりも、腹に収まり血肉となる。なんだかそれで良かったような気もしてきた。