高円寺堀之内妙法寺に初詣と猿回し

 

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高円寺の名刹、堀之内妙法寺へ初詣に出かけた。ちなみに午前0時から2時にかけて除夜の鐘を撞けるのだそうだ。知らなかった。

 

山門前には出店が並び、境内では和太鼓や猿回しなどの見世物が招かれていた。

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ユウという名の5歳の猿。人間でいうところの15歳にあたるという。なんとなくアンニュイな表情で惹かれた。同じ演目を1日で何十回と繰り返す、自らの食い扶持を稼ぐ立派な勤め猿だ。

 

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 最前列に並ぶ子供達は大喜びしていた。

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バスケットボールに玉乗りしながら坂を登り階段を降りる。驚きの身体能力。

 

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参拝後、境内をうろうろしていると右手前方の本堂三軌堂でお屠蘇の儀が行われていたので立ち寄った。参加は無料で、お屠蘇を頂いた干支盃をそのまま持ち帰ることができる。芝犬が可愛らしい。12年連続して妙法寺に初詣したら干支一式が揃うわけか。妙法寺のご近所の家庭にはどこもあるのだろうか。神戸の家庭にはどこもモロゾフの空き容器があったように。

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我が家のマンゴー殿には戌年の自覚は皆無だろうね。考えてみたら、殆どの犬にとって戌年を迎えられるのはせいぜい2回。そう考えると愛犬家にとって戌年というのは随分と希少な年に思えてきやしないだろうか。


ハロウィンやイースターを商業化しようと大いに煽るぐらいだから、ペット産業は愛犬家に対してもっと戌年のイベント性を高める努力をしても良いのではないか。今年は12年に一度の戌年だからあれしなきゃ、これしよう、と。消費者に自己正当化して財布の紐を緩める何かを提供できていない。愛犬家なんて、自分の犬が世界で一番可愛いと思っている馬鹿ばかりで多少の支出は厭わないのだから。


それにしても防衛本能を安寧と開放感が上回った寝姿。


ちなみに、戌年といえば高円寺駅南口近くにある「たまごの工房」で1月10日から21日まで柴犬展が催されるらしい。フィルターのかかった眼で見るとテディベアカットなどしないマンゴー殿が世界で一番可愛いと思っているけれども、黒柴というやつもなんとも可愛らしい。

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DMイラストは赤綿さんという方のもの。黒柴愛犬家垂涎ですな。

期待の新星なるか高円寺的低価格で低温調理赤身肉を出す「ブラチョーラ」

 

 
作陶の合間に「せんだい屋」という納豆専門店で納豆食べ放題しようかと思って楽しみにしていたのに既に潰れていた。二度も目の前を通り過ぎ、あれ、ないなとグーグルマップで調べて看板が取り外された釘穴が寂しいテナントがそれだと知る。2016年の8月に出来たばかりで1年3ヶ月で閉店ということになる。
 
高円寺南口に同じく2016年8月に開店した「どて子」も2017年12月に閉店。一度も食べる前に閉店したり、一度利用しただけで気づいたら閉店していたり。私のような比較的興味関心を持って街中をふらついている暇人新規客からですらトライアルとリピートを得る決め手に欠けていたのだとしたら、なかなか激戦区の高円寺で続けていくのは難しいのかもしれない。

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そこで街中を彷徨うことになったのだが、グルメハンバーガー「ファッツ」の跡地に既に新しいお店が出来ていたのでそこを新規開拓することに。庚申通り商店街から少し奥まったわかりづらい立地。フレンチおでんと赤身肉の店「ブラチョーラ」。

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ステーキランチは肉2種150gで850円。3種250gで950円。ライス大盛り無料、そこに追加100円で牛スジカレーをかけられる。

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私が頂いたステーキランチは2種類の肉に鶏の骨つき肉1つ。しかしこの2種類の肉がレア目に焼かれているのだが肉の味が濃厚で美味しい。自慢の低温調理したものだという。好みとしてはもう少し塩を減らしてもらっても良いかな。
 
このお店、実は隣の「パテ屋」と同じ経営で隣のテナントが空いたので拡張したのだという。12月からだということで開店したばかり。「いきなりステーキよりも安いですよ」とマスターは胸を張るが、重要な点は肉の味が濃くて美味しいという点。いや、この値段でこの味は賞賛ものだが、いきなりステーキを名指ししなくても、客はそことは比較しないのでは。

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ほかにも牛は仕入れて店で解体しているので希少部位も提供できるそうな。ハンガリー産の鴨肉や豚もあるそうでかなり期待できる。gあたり7〜11円でザブトンやら希少部位も注文できるし、お得に食べるならば肉盛りプレートだろう。そしてさらに気になるのがもう一つの売りであるブイヤベース仕込みのおでん。ポトフとどう違うのだろう。まるごと玉葱や大根は手堅く美味しそうだし、カマンベール巾着なんて背徳的カロリーで危険。f:id:mangokyoto:20171226132650j:plain
 
ファッツが吉祥寺に去ったのは残念に思ったがエルパトとハッピーがあるので未練はない。むしろ、跡地に期待値の高い赤肉低温調理のビストロができたのは嬉しい。今、高円寺で夜に行ってみたい店。立地が人通りの多い道からかなり奥まった場所なので、一見さんがふらりと入りにくい。こな魅力的なランチセットが残るためにも是非、常連客を掴んで長く続いて欲しい。

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脂の味ではなく、赤身肉の肉そのものの旨味を味わうにはやはり低温調理なのか。そういえば映画「二つ星の料理人」も最初は「最近はフライパンじゃなくプラスチックの袋に入れて調理するって?冗談だろ」なんて馬鹿にしていたのに観念して新しい技術を取り入れていたっけ。自宅でもお湯で低温調理に挑戦してみたい。
 
2018年1月には早稲田通り沿い、環七交差点にほど近い場所にノスタルジアカフェなるものができるらしい。フランスの街角にありそうなカフェで軽食も出されるようだ。こちらも期待。(ミートボールを売りにするのは北欧的なのか。コンセプトに興味あり)

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高円寺「JUMP」の骨つき鶏モモ肉で作る、味醂が香るハーブローストチキンレッグ

あまりに美味しくて、確実に再度作ると思われるので残しておく。

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そもそも、高円寺北口にある精肉店「JUMP」の肉が圧倒的に安くて美味しいことは付記しなければならない。冷凍し解凍した肉ではなく新鮮な肉を毎日、売り切りで販売してくれている。しかも安い。神楽坂で料理店を営む妻の知人がわざわざ買いに来て絶賛していたとのこと。そこの骨つき鶏モモ肉を使う。なんと100g100円。1脚300円。しかも調理時に骨の周囲の肉汁や旨みが滲み出るように骨の周囲に切り込みまで丁寧に入れてくれている。

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そんな骨つき鶏モモ肉を4本使用

 

合わせ調味料

醤油大匙4

蜂蜜大匙2杯

おろし生姜2かけ

日本酒大匙2杯 (今回は純米生原酒使用)

醤油大匙4杯

黒胡椒適当

 

  1. 皮はフォークで突き刺して穴を無数にあける。
  2. 合わせ調味料に肉を揉み込んでおく。理想は一晩ジップロックなどで漬け込む。
  3. 210度でオーブンを余熱
  4. 皮を上にしてローズマリーを乗せて210度で10分焼く
  5. ひっくり返し、タレをかけてさらに10分
  6. 再度皮を上にし、タレに味醂を大匙1加えたものをかけて10分焼く
肉が良いのか、レシピが良いのかはわからない。

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この焼き時間だと芯まで火が入りつつも、肉汁たっぷり。生姜の味が効いていて大変好みの味だ。蜂蜜の甘味は子供にも受けが良くなる。

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とても好みの味で妻、子供達にも大好評だったのだが、欧米人は果たしてこんな味をどう受け止めるのだろうか。ローストチキンは大好きで子供の頃から食べてきたけれども、なんかこれは違う、となるのか。醤油の味が強いと言われるのか。はたまたうちの国ではこんな味のローストチキンは食べたことない。良いね!最高!となるのか。
 
外国人を日本食でもてなすとなると寿司や天麩羅、割烹料理などでもてなしがち。せいぜい、ラーメン程度。日本人が醤油や味醂、日本酒などで洋食をアレンジしたレシピはどのように受け止められるのだろうか。和のアレンジがなされた洋食の定食メニュー、気取って言えばカジュアルなビストロメニューは認知度が低いものの、潜在力がありはしないだろうか。
 
 

高円寺の良いところ。「こころみ」カフェ、「ハッピー」ハンバーガー

高円寺の飲食店の好きなところ。これはやはり、バイトばかりのチェーン店よりも顔の見える個人経営店が多いことに尽きる。高円寺で複数店舗展開している系列店もあるが、高円寺界隈で4、5店舗といった塩梅。いつも同じ顔がいて、今日は特別にどこどこ店からヘルプなんですよ、と話してくれたりする。

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わたしの好みの隠れ家的穴場レストランカフェ「こころみ」でルーマニアワインの食事会が開かれた。ここは普段から独創的な創作料理を美医食同源のコンセプトのもとに天然素材にこだわって出している店で、今日はその料理に8種ものルーマニアワインを合わせるという企画。

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私がルーマニアで働いていたのは17年前で、その当時のルーマニアワインはお世辞にも洗練されたものではなかった。ソ連邦に属した共産主義時代は加盟各国に貢献する生産品が割り振られており、夏は乾燥し日照に恵まれたルーマニアの環境を見込まれ、小麦やワインの生産が盛んだった。しかし質よりも量が重視され、一本の葡萄の木から何本ものワインを収穫することを目指すようなワイン造りだった。17年前当時も安く、軽く、薄いワインを時にはコーラやらと混ぜてガブガブと飲む状況だった。

 

それからEU加盟もあり、フランス、イタリア、スペインからの技術移転もありルーマニアワインの質は劇的に向上した。しかし格付けが値段に顕著に反映されるワイン業界においてルーマニアワインはまだ安い。欧州におけるアルゼンチンワインのような位置付けではなかろうか。

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私がいた昔にはこんなに美味しいワインは簡単には見つからなかった。

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食事の上でのこの日1番の収穫は、蕎麦ソムリエなる人が来ていて、常陸秋蕎麦というとても美味しい蕎麦を打って出してくれた。しかもツユではなくオリーブオイルと粗塩で頂くというもの。それがあんなにも蕎麦の風味を味わえて美味しいとは知らなんだ。こればっかしはルーマニアワインに合わせるのは建前でただ客に極上の蕎麦を食べてもらいたかっただけだと疑っている。

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ルーマニアワインの宴の15席は満席で、那須塩原や愛知などの遠方から来られた方もいた。しかし殆どの方は高円寺在住で、しかもお寺の住職の奥様だったり、母娘で歌手をされていたり、語学スクールやプレタポルテの工房を経営されていたりと面白い経歴の方が多かった。「こころみ」の店主の人柄を軸に繋がったお客さんであり、時には協働する仲間たちといった印象。地域に根差して、面白い人達の繋がりの網が素敵だと思った。

 

 


その「こころみ」の近くを別の日に歩いていて、あまり通ることのない路地に「ハッピー」というハンバーガー屋さんを見つけた。

 

店主に聞くと2017年の夏に開業とのこと。1,000円〜1,500円程度の価格帯で大きなハンバーガーにフライドポテトが付いてくる。

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アボカドチーズバーガーを頼んだが、私なんかが指摘できる欠点などなく美味しい。炭火焼きでパテに脂のこってり感が残っていないのが嬉しい。カリッとしたバンズ、トマトの肉厚感。

  • しっかりとした量と味のグルメバーガー
  • 長いハイカウンター席
  • ビールカクテル、シードルカクテルが豊富。
  • アメリカンダイナーのようなカジュアルな内装
  • まだ混んでいない。ここまで来て入店できないことはなさそう
  • 感じの良い若いお兄さんがやっていて、独りぶらりと来て雑談して帰るのに乙
  • きちんと躾けられて迷惑をかけない犬ならばOK!

 

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高円寺にもいくつかグルメバーガーの店がありますよねという話になって、ファッツが閉店したことを聞いた。吉祥寺に移転したらしい。樽のような太った白人のおっさんが、いかにもハンバーガー大好きといった空気を纏ってハンバーガーを作っていた。好きだった。

 

新高円寺の環七と青梅街道の交差点近くにも「バーガーズカフェ グリルフクヨシ」というグルメバーガー屋が出来たが、しっくり来ない。看板もメニューも綺麗に作り込まれたチェーン店で店員のハンバーガー愛をそこまで感じないのだよな。テイクアウトの店員が忙しげに行き交うのも落ち着かない。偏見持ちで申し訳ない。雇われ感が滲んでいるというか。テーブル席主体で作られたら料理が提供されるだけ。一人で食べに行っても、独り無言で食べて出るだけだった。

 

ISLETという中野五差路近くの店は遠くてもはや商圏が違う。残るグルメバーガーはエルパトだが、あそこもテーブル席で誰かと行く店の印象が強い。いや、カウンターもあったか。ハンバーガーの為のバンズを独自開発するほどのハンバーガー愛に溢れ、テラス席が気持ちの良い店だ。

 

高円寺北のエルパト、南のハッピー。南北の両横綱。そういうことにしよう。

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なんだか、大きな後ろ盾なく頑張ってそうなこの店に肩入れしたくなる。何せハンバーガーは美味しいし。以前、自分でも作ってみたがなかなかこんな風に美味しくパテを焼けないのだよな。新宿にバンズをわざわざ買いに行って作ったことあります、なんて話をしたところ、即座に「峰屋さんですか」と返ってきた。彼の出すハンバーガーは彼がいろいろ研究を積んだ末の彼にとってのベストバーガーなのだと思う。ちなみにパテはアルミフライパンではなく、炭火鉄網で焼くと縮みにくく美味しく焼けるそうな。

 

「こころみ」「ハッピー」を通じて何が言いたいかというと、一人で行っても孤独を感じずに適度な距離感で気安く入れるような店を私は高円寺に求めている。全く独りもつまらないし、友達に声かけるのも煩わしい時に程よい雑談相手になってくれる店。それに応えられる店が多いのが高円寺の魅力だと思っている。友人知人と食べに行ってももちろん楽しめるし、一人でもなんとなく人との接点を感じられる。独り身に居場所がある街。

 

いつまで掛かっているかは知らないが、ハッピーには壁にストリート感あふれる若くて素敵な女性の写真が並べてある。マスターの歴代彼女か、是非聞いてみて欲しい。

 

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暖かくなったら犬の散歩がてら、店先の椅子で頬張るのも良いかもな。小さなコーヒーテーブルがあれば理想的。


ハッピー ザ バーガースタンド

【火〜金】12:00〜15:00 / 18:00〜22:00
【土日祝】12:00〜19:00

月曜休日


 

お一人様仕様「お誕生日おめでとう自分」ケーキ。ジュンホンマのケーキ 夏の陣が魅力的。

高円寺の名物パティスリー、つまり街のケーキ屋さん。ケーキを買いに来たのだが、創造性に富んでいて見ていて楽しい。

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今は最高に白桃が美味しい季節だけれども、その白桃を丸ごとくりぬき、さらにその中にクリームを詰め込んだというタルトケーキ。美味くないわけがないし、丸ごと食べているかのような満足感も高そうだ。

 

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フランボワジェの華やかな多層構造。

 

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マンダリンオレンジのムースと紅茶のムースを泥漿技法のようにマーブルに混ぜ合わせ、しかもクリームブリュレ入り。

 

どれもこれも美味しそう。で、見た目は一番地味だけど高円寺ロールケーキも絶品なのだよな。何を買うか悩ませる。

 

 

初志が揺るぎそうになったが、ちゃんと買うべきものを買わなければ。誕生日ケーキ。それはやはりクリームで覆われていて蝋燭をさせて、メッセージプレートが載せてもらえるやつだ。

 

当日に予約もなしにいきなりいってもホールケーキが常に売ってるわけではない。ショーケースの中にホールケーキは無かった。ホールケーキは最短でいつ予約する必要があるか聞くと、前日だという。そりゃそうだよな。しかしダメ元で尋ねると、幸いにして高円寺の別店に4号ケーキが残っていたのでたまたま居合わせたジュンホンマ氏が取りに行ってくれるという。最高。

 

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こちらが「自分へのご褒美」ケーキを超える「自分へのおめでとう」レア白桃ケーキとなります。参考にどうぞ。ここでいうレアはレアチーズのレアとは違うかもしれないし、深い意味で同じかもしれない。

 

粗と密を不均衡にすることで視線を誘導するデザイン技能がある。あえて定番の文言を上に詰めて、下部の大きな余白に視線を誘導すべく書く。なんとなく、最後の二文字を書く前にパティシエが深呼吸した様が瞼の裏に浮かぶ。メッセージプレートの書き方からしてジュンホンマは一流ケーキ屋さんだと思っている。

 

メッセージのお名前はどうされますか、と聞かれ答えた際の爽やか青年店員の崩れない微笑も忘れがたい。接客もしっかりしている。内心では「うわ、初めてみたよ」「4号って4人分ぐらいですかね、って全部自分で食べるんじゃないの?」「誕生日自作自演きっつー」とかいろいろ脳内を駆け巡ったかもしれない。客を差別することなく、どんな祝い事も受け入れてくれる店なんだ、ここは。

 

はよ、珈琲飲めるようにしてイートイン始めてくれないかな。

奈良の庄屋の蔵解放。朱塗りの漆器大放出 -高円寺の隠れ家「こころみ」カフェ

  • 奈良の庄屋の蔵出し朱塗りの祝膳
  • 膳台、4椀一式を数千円の破格譲渡
  • 美品、保存状態良好
  • 祝いの食事に、インテリアに
  • 食事だけでなく珈琲、甘味利用も好適

 

 

週末の昼に一人で外食というのはかなり久しぶりな気がする。そこでしばらくご無沙汰して行きたかった店の筆頭である「こころみ」へ。

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玄関を開いて顔を覗かせて早々、あらお久しぶりですね、奥様の誕生日祝いぶりかしら、と若女主人。

 

久しぶりにお気に入りの店に来て、あれ、バイトがみんな変わったな、では味気ない。いつもの顔ぶれが揃ってお迎えしてくれる店というのがとても居心地が良い。それにしてもよくまあ、覚えてくれているものだ。おそらくは夜のコースを昼に出して欲しいだとか、二階の和室を貸切させて欲しいとかあれこれ要求の多い客だったからか。こういうのは誰に対しても覚えているものだと期待してはいけない。私は未だに同僚の顔名前もうろ覚えだというのに。

 

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暇潰しに写真を撮るのが好きな人には気にいる店なのではないかと思う。そこら中に被写体が溢れている。

 

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枇杷に手編みの布草履。なんとなく切り取った光景が絵になるというかなんというか。

 

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英工社の機械式時計。大正レトロ溢れるアンティークとして今でも人気の時計だ。そして眼を見張るのが天井の玉杢一枚板が嵌った格子天井。

 

今、同じものを作ろうとするととても高くつきますよ。そう言われるやつだ。しかし80年ほど前に(うろ覚え)この家が普請された時も、設計士から同じことを言われたに違いない。近代化が始まった世の中では既に需要も供給も減り始めた贅沢だったはず。そんな状況下で玉杢の銘木板の格子天井を作るのだからかなりの趣味人だったのだろう。

 

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今回は牛筋の煮込みを頂いた。お昼にもこのようにしっかりと前菜がつく。

 

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パンも自家製と言っていた気がする。手前のオリーブ入りのパンが特に好みだ。

 

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ここで食べていると痩せていくのではないか、体調が良くなっていくのではないかと思えてくる健康食。煮込みも美味しかったが、他で食べられなさそうな一品としてはあの具沢山スパイシーカレーをまた食べたくなった。

 

雑談から話が転じ、お知り合いの奈良の庄屋が家屋を仕舞うそうで、3つの蔵の1つから100セットもの朱塗りの御膳が出てきたそうで買い手を探しているのだという。

 

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100膳も並ぶような庄屋で執り行われる結婚式や祝いの宴はさぞ豪勢だったことだろう。

 

4椀と膳で1セット。これこそ、今、新品を買おうとしたら数万円あるいは十万円を超える品だと思う。

 

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電子レンジにも食洗機にも使えないし、洗ったら水気を拭き取って保管しないといけない手間はかかる。場所もとる。なかなか現代では使う人も少なくて小道具屋なんかでも引き取ってくれないのだという。何せ100膳。

 

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いや、漆ですよ。庄屋で大事に使われていた下地がプラスチックではなく木の品々ですよ。しかも見た感じ、反りや歪みが少ない。新品の漆器も安いやつは木の乾燥も半端で動いて歪むが、この漆器はもう動かなそうだ。

 

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朱塗りのお櫃なんてなかなか手に入らない。しかもこの杓文字付き。

 

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こういうのはワインクーラーにも使えそうだ。

 

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こんな丁寧に作られた漆器が貰い手がいないなんておかしすぎる。膳は一式数千円で構わないという。あり得ない値段。私は6膳ほどお譲り頂きたいと思う。これでハレの日に居間の床で馳走を作って食べたい。

 

興味がある人は是非、高円寺の「こころみ」で現物の色味や使用感を確認して欲しい。女将、若女将に朱塗りの御膳が見たいといえば快く対応してくれるはずだ。

 

ここ「こころみ」は食事だけでなく果実酒が美味しい。桃のコンポートゼリーなんかの甘味も美味しい。あの果実酒でかき氷を作ってくれたら夏の盛りには最高かもしれない。

 

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こんなことを書いていると店の回し者かと思われるのだろうか。スターバックスなどのチェーンが出店しない街なのが高円寺の魅力だと思う。そしてその構成要素は古着屋やライブハウス、センベロの安い居酒屋だけでなくこういう店だとも思っている。世の中に残って欲しいもの、自分の街に長く残って欲しい店があるとしみじみと思う今日この頃。

 

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高円寺 越後屋の菩提寺。石仏と蓮が見事な「真盛寺」

小さな寺が多いがここは広く静か

妙法寺と続けて寺巡りに良い

石仏と蓮が見どころ


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杉並区で第三の広さを誇る寺院なのだそうだ。延宝元年(1673年)に三井高利江戸日本橋において創業した越後屋菩提寺になっており、俗に「三井寺」とも呼ばれているとか呼ぼれていないとか。

 

現在の地に移転してきたのは100年ほど前のこと。

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門前の桜は立派な枝ぶりで来春には是非、見に来たい。

 

 

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境内には石仏が多い。一体一体が蓮の花弁のようでもある。いつからこのような配置になったのか。いつ頃、集めたのだろうか。どれも苔むして風情と存在感がある。

 

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企画寸法違いの中ボス風石仏。

 

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鬼百合と本堂。

 

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立派な櫓に鬼瓦の石碑。

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銅の坐像の前方左右に蓮の植わった大きな甕が対で置かれ、咲いた蓮が見事だった。

 

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頭上の高さまで茎が伸びており蓮も葉も見上げることができる。蓮の葉は特に池に生えた状態を見下ろすことが多いので逆光を透過した葉がこんなにも綺麗だとは知らなかった。

 

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狙った配置だと思う。

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裏の墓地へと続く門。

 

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こういう風情もたまらんな。

 

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東京の寺の多くは京都に多いような観光寺院ではない。檀家の為に静かに綺麗に手を入れられてひっそりとしている。

 

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高円寺の近所の寺巡りも夏の盛りでも早朝は気持ちが良い。和の空間作りが素敵であれこれと参考になるし、家で真似したいと思う。こんな釣り忍、自分の家でも吊るせそうではないか。

 

また桜の季節に再訪したい。高円寺で今のところ最も四季の花々が綺麗な寺ではないかと思う。