大本山 大光山本圀寺

朱の鳥居のトンネルを拝みたければ伏見稲荷。水面に立つ鳥居を拝みたければ宮島だろう。金色の鳥居をみたくば本圀寺となる。この本圀寺、金尽くしである。


こんなことを言っては失礼かもしれないが、浮かんでくる言葉は「胡散臭い」「新興宗教」「悪趣味」である。金というやつは使い間違えると随分と手垢の付いた俗な見栄えになる。閉ざされた寺院本堂の聖域を金尽くしにするならまだ信仰の対象に貴重な金を捧げたのだと思うことができるが、遠目にわかる箇所を金に覆うのは示威的な印象しか残らない。金を多用するようになるとかえって貧乏臭くなるとは発見だ。

釣られた金の大梵鐘は豊臣秀吉の姉であり、豊臣秀次の母でもある村雲瑞龍院の寄進だそうだ。そういえば豊臣秀吉も金の茶室なんぞを造っていたっけ。



金の仁王像が立つ。運慶作。金を塗っては迫力が無くなってしまうような。屋根には金の鯱。



さらには金色の九頭龍までいる。




裏には加藤清正公廟があり、金の鳥居が立つ。



清正公の家紋は丸。これは蛇の目であるらしい。そして桔梗。慶事には桔梗、戦では蛇の目と使い分けていた。簡素で印象が強い。




新興宗教などの金満宗教の胡散臭さが漂う。しかし紆余曲折を得ており建物は新しく再建されたものが殆どだが由緒は古いらしい。しかし重みや風格を金で根こそぎ払拭している。


なんでも本圀寺との号は日蓮大聖人が名付け、水戸黄門で有名な水戸光圀公の名は大光山から光、本圀寺から圀を一字づつ取って名付けられたそうな。そう寺では立て札がされているが、一般的には日蓮が本國寺と名付け、後に水戸光圀公より圀の一字を賜り本圀寺と改名したとされている。全くもって反対ではないか。立て札の説明は不自然なほど弁解がましくもある。


金の鯱も龍も鳥居も仁王像も皆、至って新しいもの。何か必死に格を演出しようとしているようで、それこそ鍍金の内が透けて見えてしまっているような。



本圀寺の紋は楓。


所在:京都府京都市山科区御陵大岩6
アクセス:京都市営地下鉄御陵駅から徒歩15分