琉金と丹頂

金魚。最もインテリア性の高い和様に合う観賞魚ではなかろうか。しかも錦鯉などと違って、金魚鉢さえあれば飼える手軽さも良い。熱帯魚と違って外で越冬できる丈夫さも有り難い。


残念ながら家の近所には金魚を売っている店が無い。熱帯魚店があることにはあるのだが、龍魚専門店で金魚と言う庶民の愛玩魚には関心が無いらしい。そこで30分ほどかけて六地蔵コーナンまで足を伸ばした。


江戸時代には大量の品種が生み出された金魚。しかし関東大震災、第二次大戦などの惨禍で多くの種が途絶えてしまったと言う。発祥の地中国でも同様な様で、文化大革命時に旧文化として非難され、多くの品種が途絶えた。香港の金魚街に行くと、多くの水槽には「日式」品種が並ぶ。


どうも「出目金」や「水泡眼」、「天頂眼」なんかは畸形に見えて痛々しくて苦手だ。「花房」や「獅子頭」のように頭がボコボコと隆起したランチュウ系品種も好きではない。


琉金」体型が好きだ。あの尾鰭がふわりと広がる様も優雅で涼やかだ。尾鰭が反転した「土佐錦」も好みなのだが、天然記念物であるし、値が張る上に栄養価の高いイトミミズを与え丸鉢で飼育する必要があるとのことで、敷居が高いので諦めた。血が濃く体が弱い上に、青水ではなくさら水を好むと言うので逞しく屋外飼育するには不向きなようだ。


色は斑模様よりも1色もしくはせいぜい2色のものが良い。「キャラコ」は好みではない。「茶金」の銅色もなかなか魅力的だ。


そんなわけで、肉瘤のあまり発達していない「丹頂」と、白の入っていない一番真っ赤に思えた「琉金」を一匹づつ購入した。紅白一対の金魚の雌雄は分からない。金魚の寿命は10〜15年と言われる。露地飼育では15年まで生きないだろうが、可能な限り長生きさせたい。


奇しくも京都便利堂で見かけた美術はがきに神坂雪佳の「金魚玉」があった。この容姿、琉金ではなかろうか。そして左右に配されているのは「しのぶ」。金魚しのぶ玉のアイデアはこんなところに既に有った訳か。



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