犬の孤独

小生も嫁さんもマンゴーも居間で愛用していた長座蒲団にマンゴーが小便をした。


ショックだった一方でなんとなく予想の範囲でもある。週末に実家に連れて帰り、連日えらい可愛がられようだった。たくさん構ってもらった後に散歩に連れ出して貰えず相手にされないと抗議の粗相をする。
犬は基本的に自分の寝床には糞尿はしない。巣に体臭が籠るのを避ける野生の習性の名残か、清潔に保ちたい生理的欲求かは定かではないが。もう一歳半にもなると、我慢できずに糞尿を漏らすことも殆どない。京都から実家まで5時間の道中も困った事態になったことはない。


そう考えるとやはり意思表示としての粗相なのだろう。


遊んで貰いたくてまとわりついてきても、構ってもらいたくて目の前で玩具を口で振り回して激しく独り遊びしても相手にされない。どこまで犬と人を同列視できるのかわからんが、犬とて、誰からも相手にされず、存在を無視される苦しみは少なからず同じかもしれない。まして外出する自由も会いに行ける友人もおらぬのだから。そうなると例え皆が気に入って使っている長座蒲団だろうと、怒られるのがわかっていようと、気付いて貰うためには粗相するしかないのだろう。


忙しい時には夫婦の間で散歩の押し付け合いになることがある。マンゴーに酷く申し訳ない話である。犬を飼うこと自体が、随分と人に勝手で都合の良いことなのかもしれない。この人語の喋れぬ珍獣をせめてもう少し幸せにできんとなあ。