原作と映画化

最近、深津絵里が演じて海外の映画祭で話題になった「悪人」を原作で読み、思いのほか素晴らしかったものだから映画でも観てみた。


結論から言うと、原作に映画は遠く及ばない。わかりきった陳腐な結論だけれども。自分好みに想像を膨らませる余地のある原作のほうが良い。小説は2時間半の時間制約が無い。結局様々なエピソードやコンテキストが映画からは抜けている。母親を子を捨てた罪悪感から救うために敢えて1000円、2000円の小銭をたかりにいく。服役する自分を待つことの無い様、敢えてつかまる直前に彼女の首を絞める。孤独に苦しみながらも、大事な人の幸せの為に敢えて孤独となる結末を選ぶ。そんな彼の深い優しさが全く描かれずに終わっている。


夜、カフェでよしながふみ作の「大奥」を6巻まで読破。分類上は少女マンガらしいが目がやたら大きく潤んでいたりすることもなく、気にせず読めた。男女が倒錯しようと変わらない人間模様に思わず引き込まれる。これも映画は男女倒錯という設定を面白おかしくイロモノのように扱っているだけなのだろう。