醍醐寺 如意輪観音坐像

前回諸事情により入れなかった醍醐寺の霊宝館と仏像館を訪れる。


醍醐寺には霊宝館と仏像館にそれぞれ如意輪観音坐像があるのだが、霊宝館のものが重要文化財、仏像館のものは無指定である。しかしその無指定の方こそが目を奪われる素晴らしさだった。先の尖った唐草後光を持ち、足を踏み下げた「如意輪観音踏み下げ像」と呼ばれるもの。鈍く、しかし艶やかに輝いている金箔の後光と台座の中に、黒い観音坐像が全体の印象を引き締める。膝を立て、一見力を抜いた柔らかい姿勢でいながら、涼やかで観る者に緊張感を与える品位の高さが漂う。蓮の台座に垂れる衣の造形も素晴らしい。丸顔よりも面長の凛々しい顔、そして腹部や腕の表現がデフォルメされすぎていないのが良い。今まで拝んだ如意輪観音坐像の中でも群を抜いて好み。次は千本釈迦堂のものだろうか。


残念ながら写真は撮れなかったのでWEBから拾えた唯一の画像がこれ。実際のものの陰影はこんな写真とは比べにならない。


ちなみに仏像館に同じく置いてあった大威徳明王の乗る牛が目が漫画のように円らに大きく、あまりに可愛らしくて笑いそうになってしまった。