蕎麦にこら

以前、雑誌で知り、先週に行ってみた蕎麦屋である。和モダンな内装の町家を改装した蕎麦屋で、こだわりの十割蕎麦を使った蕎麦コースが売り。


秋に収穫された茨城産の常陸秋蕎麦の実を農家から直接仕入れ、摂氏七度・湿度60%に保った冷蔵庫で保管して年間を通じて新蕎麦の味が楽しめるよう工夫している。しかも蕎麦も緑色の弱いものをカラースケールでふるいにかけている念の入れよう。蕎麦もその日に使う分だけを冷蔵庫から取り出し、つなぎを一切使わずに打っているとのこと。


伝助穴子の天麩羅と堀川牛蒡のすり流しそばを頼んだ。蕎麦はつなぎを使っていないだけに、箸で掬い上げるだけでぼろぼろと切れるほどに脆い。しかし蕎麦自体の旨味と香りが感じられる。拘るだけのものはある。そして蕎麦湯はなんとも優しく温まる味だった。嫁さんは京鴨のつけ汁ざるそばを頼んでいたが、鴨のつけ汁の味と風味が強すぎて、おそらくざるで食べたほうが美味しかったのではないのかとのこと。


蕎麦の品書きだけを見ても、食欲をそそる。

  • かけそば
  • 九条葱と辛み大根のおろしそば
  • 京鴨と九条葱の南ばんそば
  • 聖護院かぶらそば
  • 自家製にしんそば
  • 伝助穴子の天麩羅と堀川牛蒡のすり流しそば
  • 牡蠣の酒蒸しそば
  • 天ぷらそば


焼酎、日本酒が豊富に取り揃えられており、酒のあての一品料理が多いのも特色。値段がどれも1500円〜2000円弱と蕎麦屋にしては随分と高い。確かに美味いのだが、ここから少し歩いたところにある「かね井」が1200円前後で食べられることを考えると、また足を運ぶ機会は少なそうである。ただ美味い蕎麦を食べるならより手頃な「かね井」、酒を飲みながら美味い蕎麦を食べたいなら割高だが「にこら」と住み分かれるか。ちなみに2011年のミシュランでは「かね井」も「にこら」も星がひとつ付けられていた。


住所 〒602-8446 京都市上京区智恵光院通五辻上ル五辻町69-3
電話 075-431-7567
定休日 毎週水曜日&第三火曜日
営業時間 11:30am〜14:30pm,17:30pm〜20:30pm