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酒井抱一

芸術家

好きな画家の一人に酒井抱一がいる。


徳川幕府有数の譜代大名であり姫路城主、酒井家の次男という非常に経済力に恵まれた出自であるところが興味深い。しかし長兄が姫路に転封になった際には長旅の中で長兄に不幸があった場合には家督を継ぐために仮養子になっているし、その後も多くの大名から養子縁組の誘いがあったそうだが全て断っている。本人は統治者として君臨することには興味が無かったようである。甥が酒井家を継ぐことが確実になって以降はさっさと出家している。


その一方で絵画の世界においては尾形光琳の正統後継者と認められることに相当な拘りをみせている。金箔や銀箔で様々な大作を試みをしたり、光琳百年忌を催すにあたっても、その裕福な出自と階級が利するところも大きかったように思うが、絵画の世界では追求者として貪欲な人だったようである。追求する絵画表現の前では譜代大名の権力と地位など価値のないことだったのだろう。


酒井抱一の作風で好きなところは琳派の反復表現やデフォルメを取り入れながらも、要所要所に写実的で繊細な描写を混ぜ込んでいるところ。なにやら構図もすっきりとしていて飾れるものなら家に飾りたくなるような作が多い。


宗達光琳にない琳派技法を使った花鳥風月画が主題として好みなのもあるかもしれない。薄墨に緑青を垂らしこんだ技法も彼のものが一番好みである。また、銀箔地に描いた屏風等を多数残し、銀箔の美学を探求した人でもある。金箔地の絢爛さとは対照的に月明かりに照らされたような彩度のない冷やかで翳のある美しさがある。