風の森

まず水を飲ませて頂いた。昔からの井戸や水源も時を経て水質が劣化するらしく、再度幾本か穴を掘り、現在は金剛葛城山系の地下100メートル以深の水脈から汲み上げているという。


水は無味無臭で柔らかい口当たりがする。その柔らかさに軟水なのかと聞くと、鉱物成分上は硬水なのだという。口当たりの柔らかさと硬軟は一致しておらず、柔らかいと感じるものは大抵適度に硬い水なのだそうだ。軟水は心に描いているよりも随分とイガイガが強いとのこと。


次に氷蔵されていた「風の森」を試飲させていただく。色がほんのりと緑がかっているのが水と並べるとわかる。無濾過無加水という火入れもフィルター通しも加水もしていない生搾り純米酒の銘柄だそうだ。頂いたのは精米歩合45%の純米大吟醸。キンキンと冷えた「風の森」に口をつけると香りはくどくないのに濃厚な味がする。そしてその重さからは不思議なぐらいスッとした後味のキレの良さ。実際にはアルコール度数も17.5%と高い。うまい。


段々室温に慣れてくると大吟醸ならではの香りが膨らんでくる。室温だと小生には香りが芳醇すぎてしんどい。しかし大吟醸をキンキンに冷やすと如何に芯と重みがありながらすっきりと美味しく飲めるかを学べた。これが「風の森」だからこそなのか、純米大吟醸は皆その傾向なのかはわからないので別の機会に試してみたい。


今、家にある日本酒を飲み干したら買おうかと思っている。720mlの壜で1500円程度というのも懐にやさしくて良い。