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丹後 宇川温泉 よし野の里

一週間ほど既に前になる。
台風が来ると知りながら休みをとって丹後半島の宇川温泉へ。


宿は宇川温泉と言われながらも温泉街もない実に長閑な場所にあった。丘の上に建つ木造ログハウスで目の前には丹後松島がぽかりと浮かぶ。周囲には家も少なく海と緑に囲まれた実に牧歌的な光景。このような風景が日本の最果てのような遠くに行かずともあるとは。


友人のお勧めはコテージ式の部屋からの海の眺望にあったのだが、風呂も食事も素晴らしい。


吹き抜けの天井の高い浴室に海岸線を一望できる露天風呂。初日は貰い湯に来ている海水浴客の親子でごった返していた。対照的に翌日は人の少ないなか、静かに入ることができた。晴天下では青と緑の色彩の強さはさぞ爽快だろうが、荒れる空模様の中というのも隔世の感があって秀逸。空も海も同じ灰色をしていて、その境目がぼんやりと明るい。島や海岸線の輪郭は水墨画のように淡い。冷たい雨のなか、湯の温かさが染み入る。
気分を鼓舞したい時には快晴の海山もいいかもしれんが、それを受け止める元気に欠ける時には淡い雨空の下での露天風呂というのも合う。


夕食は地魚のお造り、野菜、蟹、蝦の炭火焼き、笹鰈の焼き物と盛り沢山で冷凍の蟹ですら美味しかった。また来よう。平日の朝は近所の人達が集い、週末は海水浴客が立ち寄っていく。直営農場で育つ無農薬野菜が市価の半値ほどで売られ、それ目当ての客もいる。地域を支える大樹のような宿だ。地元民に愛され、地元にも恩恵が伝播しているなんて素敵じゃないか。