The Tree Of Life

ショーン・ペンブラッド・ピット、そしてカンヌ映画祭グランプリということで早速観にいってみた。


しかし監督はテレンス・マリックで、この人は「シン・レッド・ライン」という戦争映画を撮った小生にとっての鬼門の監督。巨匠、感動作という言葉に釣られて貸しビデオ屋から借りたものの、途中で退屈すぎて観るのを止めて返してしまった。しかし数年後に最後まで見なかったぐらいなので記憶に残っていなかった自分は再度借りて同じ結末を辿った。それをこともあろうか2回も繰り返してしまった、小生にとってのトラップのような作品を撮った監督である。


不安は裏切られ、観てよかったと思った。しかし開始20分ほどで両隣が寝ていた。そういう映画ではある。観て再認識したのは「虚心坦懐」の重要さ。単に親になったというだけでそれまで愚かで非力だった自分が完璧になれるわけがない。そんなものは子供は見抜く。支配しようとすることよりも受け入れることだそうだ。


只管映像が美しい。過去、現在、家族、宇宙の映像が散文的に説明もなく入り乱れる。幼少期の母と息子の日常を追う映像が素晴らしく、畏まって椅子を並べて座っているような退屈さではなく、日常でふと幸せの感触を得る微細なものにしっかりと目を向ける。特に低いアングルから見上げる描写が多く、無理に全体像をフレームに収めることをしない。


こんな家族のビデオを撮れたら素敵だろうね。