三井寺 弁慶力餅


大きな寺にお参りに行く楽しみの一つはそこの名物を食べること。一般的に名物に旨いものは無いと言うものの、餅系の名物は噂に違わないことが多いのではないだろうか。


三井寺には弁慶が引き擦ったという鐘があるのだが、その弁慶の怪力譚にちなんだ弁慶力餅がここの名物になっている。



一皿、五本にお茶がついて七百円と表示されている。饂飩か蕎麦でも食べられてしまう値段設定は高すぎる。しかし茶屋のおばちゃんは非常に気さくで、五本は少し多いと告げると一本でも二本でも構わんと言ってくれた。二本にお茶がついて280円なら途端に手頃に思えてくる。値札だけ見て敬遠してしまう客もいようから、そこら辺は工夫したほうが良い。


肝心の餅の味はとろりと伸びる求肥のような柔らかな餅で、そこにほの甘い緑がかったきなこが乗る。旨い。保存料も何も余計なものが添加されていないので製造から二日しか持たないという。どこでも食べられる手軽さよりも、ここにこないと食べられないという不便さのほうが感情と記憶に入り込んでくる。



緋毛氈に腰かけてしばし休憩。犬連れには野外で飲食できる茶屋は有難い。