パン屋巡礼

東京の友人が幾泊かしている。その友人は近年パン作りに凝っているらしく、一か月休みを取ってパン屋修行をしてたほど。このほど、2泊3日で遊びに来たのだが、それも宇治、京都、大阪、神戸のパンの有名店巡りをするというものだった。


おかげで連日のように我が家には各店からの無数のパンが運び込まれてヤマシナ秋のパン祭状態。某ヤマザキの漂白されたようなフニャフニャした白く柔らかいパンとは一緒にしないでいただきたい。友人が試食した残りの大量のパンのお零れに預かった。


全粒粉を使ったパンや硬く焼きしめたパンなどは噛むほどに味わい深くて良いものだ。


友人は「ル・プチメック」が一番うまいらしい。クロワッサンが美味しいのは賛成だが、チョコと柚子、カレー、オレンジと紅茶などのパンはいまいちよくわからんかった。どれも小さめのサイズで日常生活で日頃から楽しむにはコストパフォーマンスが悪いように思う。


黄檗の「たま木亭」のシュトーレンはなかなか斬新だった。パンというより焼き洋菓子というべきものだけれども。ここの紫蘇やカツの挟まった惣菜パンも好きだ。本格的なパン屋はそういう類は邪道視するのかもしれんが、この水準のパンで総菜パンを作ってくれるのは嬉しい。


「BIOBROT」はドイツ系のパンらしく、噛むほどに滋味がある。京都で言うと「ハチハチインフィニティー」のパンが近い感じか。友人が訪ねて回った店は全国的に有名な店ばかりだそうだが、やはりパン屋は身近にあって焼き立てを気軽に買える立地にあってこそだと思う。


遠くの名店より、そこそこでも焼きたての近所の店。こんな美味しいパン屋が近所にある人はなんとも羨ましい限りだ。ありとあらゆる美味しいパンを食べさせてくれた友人に多謝。


パン道に馴染みはないしそんなに上等な素材を使った良い値段のパンでなくとも小生は大満足なのだけれども、やはりその分野を深く掘り下げていくということは大事なのだなと思う。表面をなぞってばかりおらずに、自分はもう少し拘りを掘り下げる必要があるな。小生の植木にも陶芸にも。