家族写真

祖母の家の引き出しから古いアルバムを引っ張り出してきた。

96歳の祖母が8歳の少女だった頃の写真が出てきた。その後ろには初めて見た曾祖父母の姿も。曾祖父は海軍に属していたらしい。世代としては日清日露戦争には関わったかもしれないが太平洋戦争時には退役していたと思われる。当時は袴にテンガロンハットがお洒落だったのだろう。八十年以上の人生を送っても曾孫には殆ど何も伝わらないものなのだな。移ろい変わりの早さに寂しさを感じる一方で脈々と繋がる命の不思議のようなものを感じる。



祖父の若い頃の写真も出てきた。二十代前半だろう。なんだか映画俳優のようなどことない甘い顔のつくりをしている。小生が大学生でありながら馬鹿なことばかりして過ごした年代、祖父は日中戦争の不穏な時代に生きていた。


好みは別れるだろうが小生よりも父よりも祖父のほうがスタイルも顔も良かったようだ。メカに強く、のろまなパトカーを撒いてやったと自慢するスピード狂の祖父。スーツを着てそんなことをしていたならば粋かもしれない。実際に着ていたのはステテコだったかも知れんが。伯母が爺様は若い頃かっこよかったと言うのも多少納得がいった。


拝啓爺様へ、
あなたの孫は背が低く頭がでかく鼻も潰れた貧相な男になってしまいました。残念です。でも子供に隔世遺伝する望みは残されています。


写真を撮るのが好きだ。様々な写真を撮って残しておくことは子供、孫、曾孫にとって大いなるエンターテイメントになることがわかった。これからはもっと家族の写真を撮ろうかと思う。