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ライフ

映画

どうやって撮影したのか。生まれて日の浅いアイベックスが狐に追われ断崖絶壁を駆け回る。やがて狐には届かない岩肌に逃げ込んで難を逃れるのだが、何故狐には届かないのか、その可否を隔てるものが何なのか不思議だった。生来、平衡感覚が抜きん出ているのか、四肢の脚力が尋常ではないのか。


コモドドラゴンが水牛の足に一咬みを加える。唾液とともにバクテリアが体に入り、それが全身を侵す毒となる。血の臭いを嗅ぎ付けて集まった無数のコモドドラゴンの中でゆっくりと衰弱し、やがて喰われる。なぜ弱りきる前に水場から逃げなかったのか。


クワガタが雌を巡って死闘を繰り返す。相手を大顎で挟み、樹上数十メートルから突き落とせば勝ちだ。全て勝ち抜いた一際大きな雄がいざ雌と交尾しようとするが雌はこともあろうか逃げ回る。執念の末、追い付き、思いを果たすのだが、その後にこれまで戦ってきた雄と同様に雌まで樹上から挟み飛ばして突き落とす。そのオラオラぶりが何やら可笑しかった。つい、今までの癖で、とナレーションが入っていたがどうなのだろう。


90分弱の作品だったがとても楽しめた。松本幸四郎松たか子をナレーションに器用し、人気ミュージシャンの曲をテーマソングにするあたり、エイベックスらしい。エンドロールは広告代理店などの関係者ばかり。BBCから買ってきて広告を打って興行しているのはわかるが、制作者のクレジットを出してあげても良いものを。客席には子供が多く、夏休みに上映したほうが良かったのかとも思ったが
、ハリウッド大作やアニメに対抗できないという冷静な読みがあったのか。新学期が始まり一段落した後の娯楽として勝負をかけているのかもしれない。


96歳の祖母は震災後に一時期我が家に疎開して以来、マンゴーを忘れられないらしく、今まで動物に興味なかったにも関わらず、野良猫を見てもキレイな猫ちゃんねえ、などと言うようになったらしい。老化が進み多くのことを急速に忘れていく中で、小生を見ても誰か認識できなくなったというのに96歳で出会った犬が彼女の記憶の中に深く刻まれ、東京に戻ってからも度々マンゴーの名前を出して思い出を語るというのはすごいことだ。今、一番の祖母孝行はマンゴーを祖母の家に連れていくことかもしれない。そんな祖母は今度はライフを映画館に観に行くらしい。