曽爾高原


「その者青き衣をまといて金色の野に降り立つべし」ごっこができてしまう絶景が奈良にある。一面のススキの原。夕陽を浴びて金色に輝く様は言葉を失う景色だという。そう聞いて奈良県曽爾村まで足を運んだ。


生憎の雨天で金色の原は見れなかった。替わりに靄が厚くかかって幽玄な光景があった。



擂り鉢状の斜面と底の湿地に背丈ほどのススキが延々と生えている。靄は厚く、ススキの急斜の先はただ白いだけで空間感覚が歪みそうになる。斜面を緩やかに登っていくといつしか岩肌になり、森に入る。視界は50mほどしかなく、少し歩く度にその先の景色がぼんやり浮かび上がってくる。




雨天の山道を強行する装備も無いので二本ボソの山小屋で引き返したがなんとも清々しい道程だった。



曽爾は最も美しい日本の村連盟というものに加盟しているのだそうだ。鎧山、兜山に登り、屏風岩を仰ぎ見、ススキの原を歩き、曽爾高原麦酒を飲み、米粉パンのおやつを食べ、ドイツソーセージを食べる。そしてお亀の湯のとろみのある湯で疲れを癒す。見所満載。

夕陽の頃に日本酒と盃を持ち込んでススキの平原の中で秋虫の騒々しさの中で一杯というのもたまらん。


近郊に住む人にしか知られていない名勝はまだまだたくさんあるのだろうな。