松伯美術館 上村松篁

上村松園、松篁、淳之の三代に渡る日本画を納める松伯美術館に帰途立ち寄った。数年前訪れた際の展示作品とは全て異なり、今回は松篁の没後10年を記念した鳥類、取り分け鶴の作品が多かった。


彼の作品は余計な装飾が排除され、簡潔で好きだ。自分の頭の中で想像する最も日本画らしい表現をする作家だと思う。


上村松篁がルーブル美術館を初めて拝観し終えた後、『日本は負けてない』と誰にでもなく呟いたという。


これ、目茶苦茶かっこよくないか。高みを目指す向上心と自負がなければ出てこない、当事者意識のある者の言葉だと受け止めた。負けてない日本の美術絵画を産み出している人だからこそのかっこよさ。さもなくば負け惜しみか、傍観者の評論に聞こえてしまう。


松園の美人画は好みの美ではないし、淳之の花鳥画はかわいらし過ぎる。やはり獣を獣のまま狐や鹿を描いてくれる松篁が好きだ。