鴨鍋からの牡蠣柚子雑炊


「てんてこ米」という丹波の完全無農薬合鴨農法米を作るために夏の間、せっせと蟲を食べてくれた合鴨が、秋にはお勤めを終えて捌かれてしまった。それを米の仕入れ先から送って頂いたのだが、今日初めて家で鴨鍋にしてみた。


黄色っぽい脂は臭みが出るので取り除く。5mmほどにスライスして鍋にして食べた。味は濃厚で歯応えがほどよくあり、臭みはなく、鶏肉とは別物である。肉の味がしっかりと滲むので定期的に食べたくなりそうだ。これも家鴨でもなく鴨でもなく合鴨だから丁度良いのかもしれない。皆の希望に従って具材が多くなりすぎたが、牛蒡と葱と茸と豆腐ぐらいでもっとシンプルに食べたほうがより合鴨を味わえるようにも感じた。


合鴨農法は合鴨がウンカ類など害虫や雑草を食し糞が肥料となる為、化学肥料や農薬を抑えられる。さらに合鴨が泳ぐことにより土が攪拌され根を刺激し肥料分の吸収を促すなど稲穂の成長が促進されると言う。しかし1匹400円ほどする雛の購入費、タヌキやトビに捕食されるロス、雑草や蟲だけでは足りないので補足する飼料費などにより同量程度の収穫の利益率は化学農薬農法に比べ低いとのこと。合鴨も水鳥である為、羽が抜けにくく処理に手間がかかるという。実際に購入先でも処理業者に委託していた。販路が少なく買い取り価格も高くはないので合鴨自体も収益性は消して高くはないようだ。しかし山間部の千枚田のような農機をいれづらい僻地では合鴨農法は適している。合鴨の一般消費がもっと促されれば、より美味しく健康な米と合鴨がより廉価で手に入るので素晴らしいと思うのだが、なかなか難しいようである。



そして締めには先日の料理屋を真似て柚子雑炊。黄色い皮をおろし金でおろして加える。卵は3つぐらい入れてしまっても良かったかも知れぬ。葱は細身のネギを輪切りにして、雑炊が見えるぐらいの量を入れたほうが見目も良いに違いない。大勢で囲む鍋は奉行が多いと絶えず混沌とする。柚子の半塊を装飾としていれたら、苦味が出るのではないかと皆から大不評だった。先日の雑炊を見ていない友人には伝わらんかったようだ。柑橘系と牡蠣は相性がよかろうと思い、牡蠣も入れたのだがこれは正解。


自分だけで作ったわけではないが、これをもって第2週目の料理とする。