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桜狂い 本居宣長 岡崎疎水


小林秀雄による本居宜長を読み始めたのだが、学が足らなさすぎて理解できなかった。


本居本人の著書から原文のまま多く引用してくれる。しかし江戸時代の学者の記述を解説することなく読者が理解した前提で話を進めるので穴だらけの理解となってしまう。致命的な教養の不足を感じて本を閉じた。上下巻の執筆に十一年をかけた大作だが随分と勿体無いことになりそうだ。猫に小判、浅学に小林秀雄田中直紀に官僚のブリーフィング、北朝鮮人工衛星。相手次第で価値あるものも無価値になる。


本居宜長という人はかなりの桜キチガイだったらしい。七十一歳の最期の年、秋口から春までに桜を題材にしたものばかり300もの歌を詠んだらしい。そして何事にも質素を心掛ける彼がこと墓に関しては細部に至るまで詳しく指示した墓を現在は三重県松阪の地に作らせた。簡潔な墓石の背部に土を盛り、苔を貼り、墓石を護るように花付きの良い一本の山桜を厳選して植えろ、と。死後も墓の手入れをして桜が枯死したら新たに植え替えることまで子に申し伝えている。


もののあはれ」という概念を提唱した本居宣長。その彼が桜狂いだったのは偶然だとは思い難い。桜花の枝離れの潔さが、尚更人を桜に対して粘着質にさせるのかね。



写真は岡崎疎水の満開の染井吉野桜。照明の当て方が上手で壮観。府立植物園は特に見習ったほうが良い。この派手な光景を「もののあはれ」と呼ぶかはわからんが。