不牛!

何を今更、という事実関係を備忘として記録しておく。脳味噌の足りない小生は、乳牛はなんらかの改良によって妊娠していなくても乳が延々と出続ける状態になっていると錯覚していた。妊娠しなければ乳が出ないのは人間もその他多くの動物も同様なのに。

  • 乳牛用の牝は毎年強制的に妊娠させ子供を産ませられる
  • 自らが生んだ子牛を育てる為だけならば本来年間100L程度の授乳で十分だが乳牛は最大1日50Lも搾乳できるほどに改良されている
  • 3,4年も連続して生み続けると内蔵は損耗し乳の生産性が下がり処分される
  • 経済効率の為、一年の間を置いて母牛の体を休ませるということはされない
  • 牛は草食だが高脂肪乳を生産させるために穀物を中心に与えられる
  • 本来の食性に合わない為、多くが消化器疾患を抱える
  • 乳牛として消耗後、食肉処分する際にも脂を乗せるために穀物飼育が便利
  • 閉鎖環境で繋ぎっ放しで飼育するため抗生物質を常に投与している
  • 出産後、母牛の乳首から直接初乳を飲むと相互に親子と認識して暴れたり鳴いたりする為、出産直後に引き離す
  • 牧草飼育では枝肉は一頭から250〜300kgとれるが、日本では同一種でも肥満により500kg以上とれる例が珍しくない
  • 高級霜降和牛は脂を行き渡らせるためにビタミンAを意図的に欠乏させる。これにより基本的に糖尿病状態で半数が失明する。
  • 屠殺時に豚の68%、牛の80%に病変が見つかり部分あるいは全廃棄される。特に内臓と呼吸器に病変が多い。


屠殺の一般的な流れはスタンガンを眉間に当てて失神させ、ピッシングという作業でワイヤーを貫通させて脳と脊髄を破壊して暴れなくする。さらに喉の動脈を裂いて血を抜くが、重要なのは心臓を止めずにおくことでより血抜きを円滑に進めて傷みにくい枝肉にすることなのだそうだ。その後の流れは。。。


  頭部切断(頭部→BSE検査)→  蹄切断 → 剥皮 → 内臓摘出(内臓→内臓検査)→ 脊髄除去→ 背割り(背骨から電動鋸で左右2つに切断する)→ トリミング(付着物除去)→ 枝肉洗浄 → 枝肉検査 → 懸肉室 → 計量 → 急速冷却 → 冷蔵保管 → 出荷


客観的にみると、これを構造的に要求している消費者たる我等は大層な鬼畜だな。(屠殺業者を悪く言うつもりは毛頭ない。)殺生に善し悪しなどないのかもしれないが無恥を上塗りすることを承知で言うと、牧草地に放牧し病を得ずに健康に育て、無理のない繁殖をし、結果今の数倍にも肉の値段が上がってしまっても良いのでは。肉が290円の牛丼のような最も廉価な大衆食ではなく普段は食べられない高嶺の花になることは肌間隔でもう少しまともな状態なのかもしれない。消費者としてそのような肉牛を選択的に買わんといけないのだろうな。


そういえば、昔、氷点下の寒さの中、手を血に染めて巨大な豚の解体を手伝ったことがあった。随分と衝撃を受けてもう豚肉は喉を通らないと思ったが、もらった肉片はシチューにすると大層美味かった。豚の生姜焼が好物だ。牛しゃぶしゃぶも美味いと思う。悪趣味な生き方がもう染み着いてしまってどうしようもないのだろうな。


中国で「牛!」と書くと「すげえっ」「最高!」みたいなスラングなのだが、実際の牛は全くそんな状況にない。