大将の放物線

「天に唾する」という言葉がある。天を仰いで唾をすれば自分にかかる。簡単至極な理だ。


時折、我が家の大将がおむつを換える際にタイミングを見計らったように放尿することがある。おむつという制御装置が外されて剥き出しの銃身。これは危険極まりない。今日は我が身に一斉掃射を浴びた。運悪く嫁さんなどは顔にくらったこともあるらしい。


思い返せば物心がついてから仰向けになって小便を放った記憶はない。水平方向以上の仰角ですら放尿したことなどないので、その機能を見くびっていたのだが息子のムスコは重力に屈することなく尿で放物線を描く。無力だと思っていた我が子だが2メートル以上も飛ばす。首も座っていない生後1週間の赤子で最も発達している筋肉は、乳を吸う口周りの筋肉と排泄まわりの括約筋なのではないだろうか。


天に唾すればどうなるかと同様に、天に放尿したら自分にかかる。あまり遠くない未来に学んでほしいと切に願う。