第九陣窯出し 達磨鉢

象嵌」という技法に新たに挑戦。彫った溝に色や質感の異なる素材を埋め込んで模様を作る。表面に上から塗って模様を描くのと違い、しっくりとした一体感が生まれる。



両の掌で包み込んで丁度良い抹茶碗、と思いきや結局は底に穴を穿って植木鉢になった。そこに達磨の絵を削ってみる。これは建仁寺天龍寺に置いてあった衝立の絵だったように思う。ゴリラのような野太さがあり、如何にも洗練された小難しい「禅」ではない表情の豊かさがなんだか気に入っている。それを再現できるかが課題なわけだが、下書き無しでえいやと削るから正確な転写にはならんだろう。



白荒土の地に黒化粧土を垂らし込んでいき、乾いた後に盛り上がった部分を削り落す。完全に乾燥していない状態では白荒も黒土も灰色に見えるので、なかなか象嵌がくっきりとは見えない。



顔は白地のまま残す為に撥水剤を塗布して保護し、その他を鉄砂釉にどぶ漬けした後に胴の部分だけ釉薬を剥がした。しっかりかかった箇所は赤黒く発色し、剥がした個所は微細な孔の中に残った釉薬が適度に発色して焦げ、適度に落ち着いてくれると期待している。これを還元焼成にかける。今まで作った中で一番時間をかけたのではないだろうか。


焼きあがりはというと。。。


む。 よ。。。よしとしよう。意外と眼力強いですね。。。


失敗作をきちんと分析して次の作品に活かすべきなんだろうな。象篏は思ったより細い線でもくっきりと輪郭が出る。象篏で模様を書くのは手軽かもしれない。少し複雑な異国の文様でも書いてみようか。黒化粧土の土肌は無釉でもキメが細かくマットでありながら若干の金属光沢がある。青、白、黒の化粧土を重ね塗りしてみたらくすんで面白いかもしれない。


さて、この達磨大師の鉢をどう活用していくか。依然としてピンとこない。柿渋で茶色に更に汚してみようか。


取り敢えずは銀苔を張りたいのだが、さらに実生一年の楓を植えようか、山椒をこちらに移植しようか。