早めに家に帰る。
嫁さんの作った夕食を食べる。
犬を散歩につれていく。
息子を添い寝させてみるも、全く寝る気配はなくあゎあゎ言いながら小さな拳を振り回してくる。
甘いものが食べたいというのでケーキを焼いた。バナナを三本ほど潰し、胡桃を砕き、焼酎に一ヶ月漬け込んだ檸檬とダークチェリーを取り出して入れる。バターも砂糖もかなり減量しているものだから素朴な甘さになる。酒漬けダークチェリーは焼いても仄かに酸味を伴って美味い。しかし檸檬はジャムを作るように煮詰めてコリコリとした食感にしたほうが美味いように思う。
庭から雑草のように茂るオレンジ薄荷の葉を摘んで薄荷茶を飲む。葉が少量でも摘み立ては風味が強い。
風鈴が鳴る。
涼風が抜けていく。
風呂に入り、ストレッチをして寝た。
とても平和で長閑な夜。幸せな時間と呼んでも良いのかもしれない。
経済的にもっと困窮しても同じ一日に同程度の幸せを感じられるだろうか。もしそうならば幸せに必要なものは随分と少ない。もしくは不要なものを得る為に日常を随分と振り回されていると言えるかもしれない。
無論、毎日がこうでは飽くし、余剰の蓄えやらを得られて生ずる安心感によるのかもしれないが。