好みの陶芸家

陶器祭りでお会いした好みの陶芸家リスト。器の店では名前や陶歴の書かれた札が置いてあったりするが、陶器祭りでは陶芸作家本人に会えて作品の説明をして頂けるので嬉しい。


谷村崇さんという清水焼団地の作家さんの作品に釘付けになった。轆轤で挽いた後に陶型に押し当てて成型する打ち込みの技法で青磁や白磁を作ってらっしゃるのだが、一部を通常の倍の48時間かけて焼いている。すると淡い一色の青磁が茶色く変色してくる。焦げたような感じ。これが少し古びたようでかっこよい。稜線に茶が出た菊深皿も捨てがたかったが、草花模様の入った中皿を買った。あとになって菊深皿も欲しくてたまらない。


唐津から出店している春窯の久保千春さんの作品で呉須と呼ばれるコバルトと鉄で一見雑なぐらいの簡素な筆遣いで魚介類を勢いよく描いている。簡素さと写実性の塩梅が自分にとって丁度良い。三枚買ってしまった。随分と安くしていただいてしまったものだから。柄物は印判と筆で絵付けしているものとで雰囲気が全く違う。色味が落ち着いていて普段使いに申し分ない。唐津の色合いは好きだ。雑誌で見た黒唐津にも興味がある。一度、九州陶器の旅なんてしてみたいものだ。


増田哲士さんという方の器。器以上に人柄に好感が持てる人で、ルーシーリーに憧れてこの道に入ったという経緯やあまりに作風が引きずられてしまう為に見ないようにしたり作陶から離れたり苦悩したそうな。ルーシーリー風の小さな高台の見た目重視の器は信念として造らないよう戒めているとのこと。実用性を犠牲にしたら大切な存在意義を失いそうだから、と。増田さんの器は素敵だが少し高くて手が出せなかった。業界標準からしたら適正なのだろうけど。


澤田尚吾氏の青磁碗。見込みに写実的に蜂だとか兎だとか動物が描かれている。執拗に細部まで忠実に描いていて好感が持てる。ほかにもセンザンコウだったりモチーフが多様なところが好きだ。これをこの値段で売ってしまうのですか。ブクも点もなく、B級品ではないのにこの値段ですか。


土田空氏の土肌を活かした粉引。シンプルで飽きない洋風でも和風でも通じる質感。粉引は好きだが、ザラザラとしすぎていたり、透明釉が折角の粉引をテカテカにし過ぎていたりと意外と好みの粉引きの幅は狭かったりする。土田氏のは馴染む。そして値段もとても安くて嬉しい。


中川雅佳氏。