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ブラックブレッド

内戦直後のスペイン農村が舞台。閉鎖的で嫉妬や偏見に満ちた村人、威圧的で腐敗した役人。真っ直ぐな目で信念と自由を息子に説く父親、身を粉にして働く愛情溢れる母親。そんな安心して見られる構図が次第に明らかになっていく嘘で崩れていく。


自らの親の清濁を受け入れて許すには幼すぎるアンドレウは否応無く歪みながら子供ではなくなっていく。
作中では曖昧なことや嘘を言う大人に代わって子供達が残酷な会話を繰り返す。子供が残酷なわけではなく、大人が真意を誤魔化す術に長けていながら腹の内は子供の台詞以上に残酷だということなのだろう。


家族のため、善かれと思って、大人になればわかる、物事は単純ではない、そんな欺瞞的な言葉が自分の口から出てくるようになったら危険信号かもしれない。注意せねば。大人の自らの弱さや妥協を自己正当化する為の頭でっかちな方便である可能性が高い。


スペインのアカデミー賞であるゴヤ賞を9部門総なめにしたという本作品。スペインでは難解な作品を理解して受け入れる土壌があるのだな。そしてスペイン子役の表情の豊かさと演技力に脱帽。しかしダークファンタジーと日本の配給会社が銘打つ所以がわからない。