山本壮平氏の器

清水焼団地の陶器祭を覗いてきたのだけれども、なんだか去年ほど心は躍らなかった。五条坂の陶器市に比べると出店数は遙かに少ないし若手作家の店も少ない。いわゆる「清水焼」に一般的な極彩色のものは数万円して手が届かない上にそもそも好みではない。かと言って量産品のようなデザインの器をあえて買う気は起きず。そんなわけでぶらぶらと散歩した一日のようなものだ。


そんな中、唯一買ったのが山本壮平氏の半磁器の珈琲カップ。深くくすんだ緑色がなんだか気に入った。穴は空いていないのだけれども仙人掌か多肉でも植えてしまおうかと思う。これが1,000円ぽっきり。いや、なんだかねえ。こんなきちんとした器が1,000円で売られてしまうなんて。安く買えて嬉しいやら悲しいやら。



職業陶芸家にとって最も費用がかかるのは窯を焚く光熱費だそうで、窯の空間効率をいかに上げるかが採算性を高める鍵となる。器と器の隙間を無駄にしない為に作られるのが箸置きやこういった小さなオブジェだそうで、ひとつ400円で売っても塵も集まればなんとやら、単価が低いと気軽に買ってもらえて数が売れれば貴重な収益源となるそうだ。そんな耳年増な陶器屋を眺める楽しみ方を覚えてしまった。