陶芸で生計をたてる

陶芸家になりたい人が100人いるとして、おおまかに店先で作品を売れ、陶芸を主収入源にできる人の割合は20人程度らしい。


しかし厄介なのはその20人程度のうち、8割は家業の窯業を親から継いでいるか、著名人が引退後に昔の著名度をもとに作品を売る場合だという。前者は早くから家業を手伝うなどし、更に陶工学校に行くなどする。そして肝心な点だが設備だけでなく販路と取引相手を親から引き継ぐ。信楽、美濃、丹波唐津など主要産地では一番多い類型だ。


後者の例は細川元首相が代表的で細川家の家宝に触れて親しんでいる恵まれた出自もあり、昔の知己に何十万、百万以上で作品が買われる。


そうなると、継げるわけでも知名度があるわけでもない人が陶芸家になれる可能性は4/84人、5%程度となる。よほど個性や技術が抜きん出ていない限り、窯元の子と同程度の作品を作っているようでは太刀打ちできないということになる。5%の一般人の活路は既に名のしれた陶芸家に弟子入りして、取引先を紹介してもらうことらしいが、弟子入り中は昼間は無償で手伝いをして、夜は設備を無料で使わせてもらって腕を磨くといった例が多いらしい。体力と根性が必要な若くなくては難しい道だ。


さらには美大を卒業して勤め仕事や主婦業の合間に作陶している人やらがわんさかいる。


窯業の市場規模は縮小し続けている。雑器は生計を立てるには単価が高くないし、毎年のように消耗するものでもない。しかしそれでも一皿2000円もすると一般人にはとても高く思われる。若い世代の客には金が無く、年寄りの食器棚は既に器で埋まって隙間はない。厳しい業界なのだな。この業界で打破する活路はどこにあるのだろう。