全聚徳の北京ダック

北京の江沢民だか、胡錦濤だかもお気に入りという北京ダック発祥の老舗、全聚徳へ。


チャイナドレスに毛皮の首巻きをした女性が席までエスコートしてくれ、豪華な内装にその時点で財布が心配になる。


北京ダックは一羽で3000円ほど。高いには違いないが、なんとかなる範囲で安心した。他に青菜の炒めと蛙の唐辛子揚げを頼む。


料理を待つ間、同僚と話しながら周囲を観察する。すぐ隣の卓には三十代後半と思しき男女。美男美女で女性は透けた素材のドレスを着ているが厚化粧ではなく品の良い感じ。男は背が高く短髪でいかにもな好青年実業家といった風。


ところがこの二人、一切会話がない。女は始終携帯電話をいじり、男は雑誌を机の上に広げている。北京ダックが卓に運ばれても会話もなく、女が携帯をいじりながら菓子でも摘まむように食べ始め、男は目の前にあるのは知っていたが漸く食べる気になったという風に暫く遅れてから食べ始めた。

高級店の北京ダックの晩餐を全く興味の無い朝食のシリアルの様に食べる。そのうち、雑誌を読む男を残して女は先に出て行った。これまた先に朝食を済ませて出掛けるように。