ルーマニア

ワークショップの参加者の中にルーマニア人の女性がいて、嬉しくなって昔ルーマニアで働いていた時のことをいろいろ喋らせてもらった。


少し気になったのがどうやらルーマニア人であること、あるいはルーマニアで働いていることにコンプレックスがあるというか、引け目を感じているようなニュアンスが滲み出ること。


ルーマニア人の古い友人は半分近くがルーマニアを出て欧州各地で働いているという話をすると、ルーマニアは貧しいし国外で働くと遥かに魅力的な給料がもらえるから仕方ないのよね、と少し否定的なことを言う。別にこちらとしては、昔の友人があちらこちらに散らばっているおかげで思わぬところで友人に再開できるし、友人宅に泊れて嬉しいと思っているぐらいなのだが。


いろいろ話していると、フランスやドイツ、スイス、オーストリアなどと比べると強大な王国があったわけではなし、現代においても経済が強いわけでも誰もが想像するようなルーマニアならではの伝統的な観光資源があるわけでもなし、ルーマニアを欧州の二流国のように捉えている様子。だから敢えてフランス人やドイツ人や英国人の前で聞かれもせずに自分がルーマニア人だと主張はしたくないようだ。確かに華やかで分かりやすい観光資源があるわけでもないし、現代においても国際的に抜きん出ている産業分野はないかもしれない。ただ単に、こちらはルーマニアのことを懐かしみを持って聞きたいだけなのだが、先回りするようにネガティブなことを言われると少し哀しくなる。


ルーマニア人の素朴な人柄と人懐こさは今でも大好きだけどな。フランス人やドイツ人の愛国心の過ぎるお国自慢が欧州の小国の人達を委縮させるのだろうか。