島原 さんき旅館

京都島原というかつての遊廓街にある一泊4500円のさんき旅館にチェックイン。きんせ旅館のすぐ前にある何度も目にしていた宿だった。


戸を潜って踏み込むと、表現し難い古い匂いがする。埃っぽくでもなく。


鰻の寝床のように只管、奥に伸びた構造。連泊客には寛いで貰いたいからと当てがってくれたのは最奥の金閣という部屋だった。六畳間に布団、テレビ、エアコン、鏡台。けして豪華では無いが、手入れされていて清潔そう。旅気分を昂らせてくれる。


門限は特に無いと言う。ネジ式の鍵を部屋に掛け、夜中の島原に出た。


すぐ近くには輪違屋という未だ現役営業の店があるのだが、どうやら客が大勢入っている様で賑やかな笑い声が聞こえてきた。音曲が聞こえてくるかと耳を済ましたが確認できず。遊女や三味線を呼んで大尽遊びしているのだろうか。


さらに数十メートル歩くと島原大門。男の楽園、女の生地獄と呼ばれた異世界を隔てていた門も今は連続した住宅街の中に立つのみ。


いっそのこと政府も開き直って島原経済特区でも作れば良いのにと思う。街並みは遊廓建築限定。ベンガラ格子。構造部材は鉄筋でも構わぬが表面は木と土と黒金と青銅飾りに制限。店側は和装限定。公営カジノなんぞを設えたら良い。遊廓らしい営業をさせるかだが、させたら良い。これだけ日本には風俗産業が蔓延りながら、今更建前もないと思う。太夫や花魁に豪華絢爛な着物を来させ、舞いや音曲で持てなす。治安が心配だというならば、入郭料を数万円に設定し、高塀で囲い、大門で閉じれて警備を置けば良い。大金を使いあぐねているロシア人、インド人、中国人の富豪に享楽を与えてあげれば良い。相当の高価格で。


西陣織も文化保存の寄付的な支援に頼るだけでは遅かれ早かれ消えてしまうのだろう。遊女を飾る衣装として欲と経済に組み込ませて潤うようにしたらどうか。