大山千枚田

東京から最も近い棚田だそうだ。東京から車を一時間走らせるだけでこんなにも田舎な風景が広がることに驚く。経済も人口もどれだけ東京に一極集中しているのだか。

長狭街道から脇道に逸れると山間部に棚田はあった。こんなにも狭く不便な斜面を開墾しなければならなかったのはかつての貧しさの現れか。それが今や観光名所になっている。


古い街並みが魅力的な観光地は何がしかの理由で発展から取り残されたようなところが多い。欧州の訪れた都市を挙げてると、ベルギーの運河の街ブルージュもかつては交易と金融の一大拠点として栄え、貴族や豪商が挙って勢を尽くした邸宅を競いあって造ったが運河に土砂が堆積し大型船が利用できなくなるにつれ棄てられていった。クロンベルクも似たようなものだった。


東京も棄都されればやがては魅力的な遺跡都市になるのだろうか。200年後の西新宿高層ビル群やお台場を見てみたい。


そんなわけで取り残されて維持されたからこそ魅力を放つ大山棚田。現在は区画を細分化してオーナー制を採用することで高コストな棚田を守っている。この棚田から穫れた米で造られた大山千枚田という清酒を呑んだが、飲み比べた地酒三種の中では一番の好みだった。