千五百羅漢石仏群

開山1300年の歴史を持つ鋸山の日本寺は山全体に3000段弱の石段が巡らされており、そこには1500もの羅漢像や観音像がある。


しかも表情が豊かで石佛としての出来栄えも高く、そこらの美術館に赴くよりも満足度は高い。





石材の柔らかさの為か、年月の長さ故か。輪郭がぼやけるほどに溶けてしまった石佛も散見される。


気になるのは頭が落ちた石佛の異常な多さで修復された痛ましい痕がある。明らかに石質が異なる頭と胴や、形状や様式が異なる頭と胴が繋がれてしまっているものも多い。頭が見つからない像になると代わりに石が積まれていたり、そのままであったりする。




まるで各々がそこで瞑想に入り即身仏になり、石化、風化したようにも見える。


その異常さに後から調べると、廃仏毀釈の際に破壊されたという話、想う人に似た風貌の仏頭を人に悟られずに持ち帰って供養すると願いが叶い、お礼に新たな石像を収めたという昔の風習の話などか出て来たが真偽のほどはわからない。





1500もの石佛や羅漢像の中にはふと目が止まり動けなくなるほどの素晴らしいものも多々ある。見て飽きない美仏、その空間を切り取って持ち帰りたいほどに朽ちて場に馴染んだ石佛など。






そして階段を降り切ると開けた台地に日本で最大の石佛が鎮座している。崖から削りだし、足らぬ部分は石が積まれて造られている。大仏は奈良と鎌倉だけではないのだな。造形は鎌倉のものよりも好みかもしれない。


すぐ傍にはインド・ブッダガヤから贈られた「聖菩提樹」の苗木が育てられている。


石佛を観たいならばここだ。