Terrass Hotel

待ちに待った本社出張。アメリカの片田舎よりもパリに本社があるほうが自分のような仕事に怠惰な人間にはありがたい。おし、頑張って出張に行こう、という気になる。


モンマルトルの近くに会社が宿をとってくれた。百年は経ってそうな8階建て規制があったころの装飾的なファサードのある建物だ。

受付の計らいで、眺望は素晴らしいが少し狭い8階の屋根裏部屋と眺望のない下の階の部屋のどちらが良いか選ばせてくれた。エレベーターは7階までしかないので8階までは階段を上る必要がある。しかしこれは「ワクワク」を優先するならば当然屋根裏部屋を選ぶべきだろう。


母屋下がりの部屋だが天井から床までの大きな窓が南を向いており、そこからパリが一望できる。エッフェルタワーが真正面に見える。基本的に平坦なパリにおいてパリ市街地を一望できるクラシックなホテルというのは貴重なのではないだろうか。

窓の下にはモンマルトル墓地。東京でいうところの青山墓地のようなところか。文人、偉人が多く眠っており観光客になっている。緑の少ないパリにおいて、緑が広がっているのは目に心地よい。

部屋の調度品は新しく清潔で快適だ。洗面所やシャワー室も新しい。何より天窓から光が差し込むので明るくてよい。シャワーの水圧が弱いのは古い建物の8階のことなので仕方がない。

日本のように茹だるような暑さでもないので屋根裏部屋でも暑すぎることはない。エアコン無しでちょうど良いぐらいだ。日曜日に開いている数少ないスーパーマーケットでジュースや水を買い、部屋に戻ってベランダに足を投げ出しながら飲んだ。一時期うんざりしたものだが、たまの海外出張も気分が高揚して良いもんだ。