内庭

夏にもエアコンを使わずに暮らしたい。


風が吹き抜ける家にしたい。


隣家に対して子供の笑い声や喋り声に気兼ねせずに済む家にしたい。


犬や子供が外部の目を気にすることなく安心して遊べる空間を造りたい。


そう考えた結果の内庭。住宅密集地だから庭を造っても窓を開放することは難しい。隣家に面した窓を開けると家の中の騒音が隣に響いてしまう。よって外に閉じ、内側に開いた家にすることにした。外を取り巻く庭を内側に取り込んだことによって、建蔽率の1.2倍のプライベート空間を作ることができたのも良かった。



イデアの源流をたどるとモロッコかもしれない。外から見ると要塞のようで殺風景だが、一度扉をくぐると内に開けた空間がある。夏には温まった熱気は軽くなり内庭から上昇気流として排出され、その際に北側の日陰からの冷たい重い空気を室内に引き込む。

しかし四面が窓だから断熱性は犠牲になったかもしれない。せめてもの足掻きとして断熱ペアサッシを入れた。さらに北関東や東北相当のIV地区基準相当に天井と壁には断熱材を入れた。これまで住んでいた家は断熱材がろくに入っておらず、シングルガラスの賃貸物件だったがそれに比べて冬はどうだろうか。


息子や犬が裸足で中庭に降りやすいように内庭には人工芝を敷こうと思う。


来年の夏には中庭にテントでも設営して息子と空を見上げて寝たい。