過密重複した来日予定

省みると自分は連休中に5日間ぐらいコンビニ店員との釣り銭受け取り以外には誰とも言葉を交わさずに過ごしても平気な人間だったりする。友達もいるんだか、いないんだか。必要としているのだか、していないのだか。


そんな友達付き合いの悪い自分に海外から会いに来てくれる友人が連続してしまうことになり、全く許容量過多。


ドラキュラで有名なトランシルバニア出身のルーマニア人で、12年前にルーマニアに住んでいた時には幾度か家に泊めてもらって世話になった友人がいる。その後、ベルギーでも幾度か会ったし、2010年に嫁さんとルーマニアに行った際にも世話になった。


そんな友人が彼氏を連れて2週間来日し、到着直後に1泊した後は1週間かけて国内を周遊し、その後1週間は我が家に泊まりながら東京近郊を観光して過ごす。私が住んでいた当時はルーマニア国の平均月収は7000円程。友人も別段、裕福なわけでもなかったがお金は無くともあれやこれやとかまってくれた。あの頃はいつだってもっとお金があれば良いと思っていたけど、振り返ってあの頃に得られた宝のような記憶は、お金があっても得られないことばかりだったと今にして思う。


自分がルーマニアで受けた温かいもてなしをいつかは恩返ししたいと思っていた。しかし現実には観光の為に飛行機代や滞在費に20万円もかけて彼らが日本に会いに来るなんてことは難しく、もてなす相手は来ないまま15年が過ぎた。だからこうして、今回来日してくれることが嬉しい。友人達も昔に比べて遥かに裕福になったのだろうけど、わざわざ渡航先に日本を選んでくれ、会いたいと思ってくれるのだから嬉しいことだ。


困ったことにルーマニア人カップルが到着する初日に、スロバキア人の宇宙物理科学者が遊びに来るから出てこいよ、と。到着前日に連絡してくるとか、無茶苦茶だ。スロバキアと日本の距離を宇宙の寸尺で扱われては困る。そんな彼は昨年、私がスロバキアに行った際には新婚宅にも関わらず数日泊めてもらい、ハイタトラス高原へ泊まりがけで遊びにも連れて行ってくれたスロバキア人の友人だ。彼が京都大学で客員研究している際にも京都でもよくつるんだ。気が合うのだろう。昨夏に息子を授かったそうだから何かしてやりたい。


ここまでならなんとかなったかもしれない。追い討ちのように、さらにルーマニアの別の友人が来るとのこと。15年前に私がルーマニアに到着した直後の1週間を彼の家に滞在させてもらい、ルーマニアで暮らす手ほどきを授けてくれた友人なのだが、先月結婚し、金沢で行われる何がしかの行事に参加する為に嫁さんを連れてくるという。しかも東京、名古屋、金沢を行ったり来たりする無茶苦茶な旅程で。東京で泊まる場所を探して欲しい、携帯電話を使えるようにして欲しい、金沢のホテルを探して欲しい、と。これまた急だし困った。


若い頃に異国で受けた無償の恩には精一杯、報いたい。あれもこれもしたいという膨れ上がる願望と、仕事やら家の残工事やらでろくにもてなす準備も出来ないのがなんとも情けない。急に言われても無理だから仕方ないと思いたい一方で、だからもてなさないなどという選択肢があるものか、とも思う。


なんで、こんな集中して来るんだよ。もっと半年ぐらいかけて準備させてくれよ、別々の年に分散できないものか。


身勝手な旦那が気の合うような友人を次々と相手するのに付き合わされる嫁さんが一番の被害者。何を他人事のように書いてるわけ?と怒られるのも呆れられるのもわかってる。


せっかくなのでこれを機に自分目線で外国人受けする高円寺を模索してみたい。