南1丁目 博多ラーメン「ばりこて」

スロバキア人の友人は京都でラーメンの美味しさに目覚めたらしい。そして豚骨ラーメンが彼の中でたどり着いた最高のラーメンなんだそうだ。


そんな訳で、それではと東高円寺の豚骨ラーメン屋「ばりこて」に連れて行った。本場博多の味に拘り、関東風の調味料は使っていません、と看板がかかる。インターネットで調べてみると東京の豚骨ラーメン20選に列せられるほど、電車に乗って食べに来る人もいる人気店らしい。高円寺最高峰のラーメンとも聞く。


友人は昼もラーメンを食べたのだが、太麺でスープも美味しくなかったことを後悔していた。なのでそんなに評判高い豚骨ラーメンならば二食連続でラーメンでも構わないという。



ここの豚骨ラーメンはスープが濃厚な豚骨なのに脂濃くなくてスッキリとしている。細麺は硬さを5段階から選ぶ。博多ラーメン650円、替玉120円という値段設定も懐に優しい。



店員さんに聞いたらスープは3日掛かりで出来上がるのだそうだ。16時間連続で豚骨を煮出して冷まし、手を加え、と相当な手間だ。


スロバキア人は替玉を注文し、果てには濃厚な豚骨スープを丼の底の絵が現れるまで飲み干した。「これこそがラーメンだ、これまでで最高のラーメンだ」と絶賛。どこまで豚骨ラーメンが好きなんだ。満足してくれて何より。


さらにこの豚骨ラーメンの真価を頭でも感じてもらおうと、美味い豚骨ラーメンをこの値段で探すことが如何に大変かを押し付け講釈した。
・何時間も煮込む豚骨スープは他のラーメンよりも光熱費が嵩むこと。
・大量の豚骨のガラは産業廃棄物としてお金を払って回収して貰わねばならず、月に数十万円にもなること。
・だから工場生産のスープを買って温めて使う店も多いこと。
・それでも全て手作りで仕込むここの650円の豚骨ラーメンは美学と自己尊厳と社会貢献の結晶であること。
彼は変な溜息をついて恍惚としていた。


彼が標準的な欧州人の嗜好だとは思わない。しかし、ラーメンの中でもとりわけ豚骨ラーメンにはまる外国人は確かに増えているらしい。今度はルーマニア人を連れてきて検証してみよう。その結果次第で外国人もてなしの殿堂コース入りだ。


こんなラーメン屋が近くにあるのはありがたいことだ。


無論、餃子も美味い。ラーメンでしっかり勝負しているこの手の店は効率を重視して焼くのに時間のかかる餃子は出さない店が多い。でも客からしたらラーメンに餃子は鬼に金棒というか、生ビールに枝豆、ブルーチーズに蜂蜜のような至福なマリアージュなわけで嬉しいに決まっている。鳥皮柚子ポン酢も旨い。

[火〜土] 11:30〜15:00 17:30〜翌2:00
[日] 11:30〜15:00 17:30〜23:00


20160108