池袋の西武百貨店で売られていた。
この日本酒を知っている。秋田の仁賀保という小さな港町にある酒蔵「飛良泉本舗」の酒だ。仁賀保駅前にはたいそう美味い寿司屋があるのだが、そこで初めて飲んだ。
秋田県産の秋田酒こまち100%使用。日本酒度-1.0、酸度1.6、アルコール分16度。協会1901酵母使用。データを見てもやはり味は思い浮かばない。
こんなコストパフォーマンスの良い大吟醸があっただろうか。紀土 夏酒や田酒に似た傾向の酒だ。キレは良いが、ほの甘い果物の吟醸香。水のようなシャバシャバではなく米の味も充分感じられる。
4合瓶で1500円也。この美味い純米大吟醸がたったの1500円。モノの価値が分からなくなる。
グランクリュや村指定格付けのワインが12ユーロで手に入るか。格付けが高いワインには半世紀前の格付けにすがっていて不味かろうとも高いワインもある。無銘で美味いワインは勿論ある。しかし有名で格付けがありながらも、安いワインなんてものはほぼない。格付け好きなフランス人は格のあるものを安く売ることは許さないし、格付けを取り上げようとすると思われる。
日本酒だと、そのどんでん返しがありうる。裁定取引の余地というか、過小評価というか。味に釣り合わない安い酒がある。流通しない美味い地酒があちらこちらにある。それが日本酒。
生産量も多くなく、流通販路も広くない。そんな地方の銘酒が手に入るのは、東京ならではなのかもな。普段は人混みに悪態をついているが、東京だからこそ日本中の美味いモノが集まるのも事実なわけだ。ありがたいことだ。