西荻窪の駅にほど近い、古民家改修カフェ。石見銀山周辺で古民家を改修した実績を積む企業の手によるもの。作り込まれた隙のなさは驚異。
京都で馴染んだ古民家カフェも東京だとここまで商業的に作り込まれるのか、と呻いた。
よく目を凝らすとここにもあそこにも拘りが隠れている、という抑制の効いた拘りの塊。一貫した有機的なミニマリズム。
トイレブラシの容器すら竹で作っている。トイレットペーパーも和柄カバーで覆う。
窓の外には窓に影を落とすべく食用には使わない無花果が干されている。
ガラス戸も腰の高さは曇りガラス、足元は模様ガラスと心理的に開放感は得られながらも安心感を与える組み合わせが吟味されている。
食事も隙がない。野菜の握り寿司に里芋、ロマネスコと赤蕪のサラダ、恐らくは冷凍して甘みを出しているであろう蜆汁。
ブレを許さず息がつまるほどの統一感。単に好きな人の古民家カフェだと遊びやブレが散見されてそれも楽しかったりするが、明確なコンセプトのもとに運営されて一切の逸脱は許していない。その徹底ぶりは感心する。