冬虫夏草鉢の制作

着々と気持ちの悪い植木鉢が出来つつある。冬虫夏草のセミタケに着想を得た植木鉢。陶虫夏草。前回は団子虫を作った。ツノゼミ、百足、蜂などシリーズ化したい。



蝉の抜け殻の実物を見ながら造形したかったが、あいにく冬では見つからない。写真を参考にしてみたが、脚の構造が勝手なデフォルメになってしまったように思う。躰の左半身の脚も着けたり細かい装飾を付けたかったが窯焼きの日程を考えると来週の素焼きに間に合わせるために作業を諦めて打ち切らざるをえなかった。


蝉の幼虫の表面はツルツルとしていたほうが写実性はあるが、中途半端な写実性は細工の悪さにしか見えないので表面に無数の削りを入れてみた。誤魔化しというやつだ。予想外の味わいとなることを期待している。



蝉の抜け殻の写真を見ると、大抵は脚を広げた状態だがそれは羽化する際に脚を踏ん張った状態だからだ。しかし死んだ虫というやつは大抵脚を曲げ込んで死ぬ。冬虫夏草は死んだ幼虫なので脚を折り込むべき。脚を浮かせたいので、下に土台を入れて素焼きをし、本焼きの際にはアルミナ粉を塗って癒着しないようにせんと。そこだけ釉薬を掛けないということでもある。


土は赤土3号。さらに鉢の開口部や関節部に信楽の白土で菌糸を表現してみた。


これにトルコ青結晶釉を掛けてみようかと思う。殻の縁は釉薬が薄くなって地肌の赤茶色が透けて見え、厚くかかった箇所はトルコ青に白い結晶が浮き出てくれれば菌糸に喰われた感じが上手く表現できるかもしれない。



白土の部分は純白に残したい。白土部分に透明マットを掛けた後に撥水剤で保護し、躯体をトルコ青結晶釉にドブ漬けしたら良いだろうか。普通の器のように高台があるわけでも無く、焼成版に癒着しないように釉薬を掛けない範囲を指定するのが難しい。


植えたいのは白い仙人掌。マミラリア系や老楽が雰囲気に合致すると思うのだが、都合の良い形のものがあるかどうか。


完成したとて、家のどこに置かせてもらえるのかは不明。室内はまず無理だろうな。花壇に置いても誰も盗りやしないだろうが意地悪に壊されても、酔狂な人に持って行かれてもつまらない。バルコニーに置くことは許されるのだろうか。