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The Intern マイインターン

期待していなかった良作。「プラダを着た悪魔」が好きな、バリバリと働く若い女性を狙い撃ちにした映画。「プラダ」を何度も好きで仕事で落ち込んだ際に見ているという友人の話を聞くが、そういう人はこの作品も嵌るんではなかろうか。お洒落なオフィス、価値観、共感を得られそうな仕掛けが沢山。「プラダ」の成功要因を分析して熟成発酵させて膨らませたような作品。


綿密なマーケティングが積み重ねられたことが伺える。配役も同性に嫌われようが、華やかさと可愛らしさでこれ以上に当てはまる女優はいないのではないかという、アンハサウェイ。インターンのベンにはロバートデニーロ。その他の配役は個性に欠けようと嫌味のない人ばかり。そして見て心が晴れるハッピーエンディング。勿体無いのは「マイ・インターン」という邦題。もう少しターゲットに刺さる他の題名はなかったものか。


私はときに傷つきながらもバリバリ働く若い女の子などではない、単なる中年企業奉公人。それでも、この作品に魅了されるのはベン役のロバートデニーロが素晴らしく、良き働き方の示唆に溢れているから。俳優としての演技が素晴らしいのはもうわかりきっていることなので触れない。このベンという男の振る舞いは理想的な軍師であり、参謀ではなかろうか。出世争いに巻き込まれずにライバル視されることもなく、いろいろ持ち込まれる相談事に耳を傾ける。泰然と振る舞い、全体の流れを俯瞰し、さしでがましくなく助言し、裏で手足を動かして整え、核心的なことに関しては同調することなく正しいと思うことを提案し主張する。自らグイグイと引っ張るリーダーとは異なる、一つの理想的な姿ではなかろうか。


人生経験だけでなく何よりも仕事で培った様々なことで、あんな可愛らしい女社長に慕われるなんていうのは定年後に心にぽっかりと穴の空いた元仕事人間が陶酔するお伽話ではなかろうか。


団塊世代の男達に刺さる内容だろうに、「マイインターン」という題名ではターゲットに届かないのではなかろうか。繰り返しになるが、仕事でそれなりにバリバリやってきた自負があるのに、定年後は家族も周りもそんな過去の武勇伝や功績を見向きもしてくれない、そう思っている寂しい団塊の世代には最高の妄想映画。


70、80歳になってもペースを落としながらも続けられる仕事を持つことは人生を充実した幸せなものにする為にとても重要だと思う。