高円寺大道芸祭 ゴールデンズ 大駱駝艦

4月30日、5月1日は高円寺駅前で大道芸祭が繰り広げられており、散歩に出かけがてら様々なパフォーマンスが観られた。家にもっとも近い会場で二演目をみた。ひとつはゴールデンズという大駱駝艦という舞踏集団の中のユニットのもの。



褌一丁の裸体に全身に金粉を塗って肉体表現をするというもの。前衛芸術的だが焔を吹いたりと大道芸的見応えもある。


場所取りからしてすごい人混みだった。しかも、やたら大きなカメラを構えたおっさんが多い。


どうやら知名度の高いパフォーマーなようで、昨年までは女性はトップレスに金粉だったらしい。そんなわけで、無料トップレスショーを期待しておっさんが集まるらしい。



狂気を帯びたような表情、力の入った指先。畏れを感じるような表現だが白昼だからまだ安心して見られる。夜に薄暗く照らされる中で鈍色に輝いて踊る姿はあまりに宗教的で儀式的に映るに違いない。



このゴールデンズの金粉舞踏は独りで来ている巨大な一眼レフカメラを携えたオヤジが子供を押しのけて最前列を牛耳る。パフォーマンス中も3m程度の距離なのに大型望遠レンズを装着してひたすら女性を連射している人が何人もいた。レンズの角度からして、全景ではなく、お尻だの股間だのばかりを取っている様子。男性ダンサーのパートになるとシャッター音が止まるのだからわかりやすい。このエロオヤジどもめ、もっと舞踏を楽しめ、と苦笑。



大駱駝艦主宰者の麿赤兒さんは暗黒舞踏を確立した土方巽に師事し、唐十郎さんの劇団に1964年から1970年まで在籍し活動。


暗黒舞踏の流れを汲む大駱駝艦は1972年に立ち上げたというからすでに活動は44年にも及ぶ。


かつては資金稼ぎにキャバレーなどを全国巡業していたらしい。


麿赤兒さんの次男は俳優の大森南朋


上半身全裸での金粉ショーを大道芸の位置演目として普及確立したのは大駱駝艦らしい。


こんな経緯をさらっていくと、本当に舞踏家の肉体表現を貪欲に愉しんでいるのはカメラを構えた最前列のオッサンなのではないかと思える。意図はどうであれ、大駱駝艦の活動が根差して市民権を得るまで金を出した人の中にキャバレー通いのオッサンがいたのは事実だ。品行方正な普通市民はこの舞踏家集団の支えにはなっていなかったかもしれない。


今の大駱駝艦の女性舞踏家達が今もキャバレー巡業による資金稼ぎをしているかはわからない。しかしかつての大駱駝艦からしたら彼らを支えてきたのは子連れの家族ではなくむしろ金を払ってキャバレーに行くオッサンだったわけで、正統な支援者達とも言える。



全身を使って肉体表現をしている舞踏家達からしたら、高円寺の路上で白昼に踊るのも、文化会館で踊るのも、キャバレーで踊るのもやってることは同じ。理解度の差はあったとしても彼らの表現をより肯定して夢中になっているのは最前列のカメラオヤジなのだよな。



かっこよかった。いいもんが観れた。来年は夜、見てみたい。


それにしてもあんなCanonの高価高性能なカメラで演者のお尻ばかり連射して数百枚、いや数千枚の写真を撮って、後のデータ整理はさぞ大変だろうに。いや、ベストな一枚を選ぼうと頭を悩ますのも楽しいのか。