御岳山 南山荘

  • 手作りの料理がお腹に優しく美味
  • 風呂から山肌を望む眺望が良い
  • 部屋から南へ高尾山や都心の眺望が良い
  • 畳に寝転んで眺望を楽しめる全面掃出し窓
  • 女将が気さくで親切
  • 夜も門限なし出入り自由(星空観察など)



息子と二人旅。電車を立川と青梅で乗り継ぎ小さな駅へ。御岳駅からバスに乗り、今度はケーブルカー駅へ。更にケーブルカーで山頂に登った後にはリフトで展望台へ。

家で息子は、乗り物に乗り継いで行く絵本を読んでくれとせがむので、実際にそんな遠足ができて面白く感じてくれたかと思う。



南山荘は山頂展望台から20分ほど歩いた山門参道の茶屋街の手前外れにあった。




とても気さくな女将が部屋を案内してくれて、たまたまキャンセルが出たとかで目の前に日の出山を望む二階の部屋をあてがって頂いた。右手には高尾山が望めるのだが、下方に見える稜線にぽこりと突き出したでっぱりに過ぎず、その端正な形があるからこそ辛うじて高尾山だと納得できる。その先には横浜や江ノ島が霞む先に見える。まだ客の着いていない部屋に入れてくれて、あれが池袋周辺だ、あれが秩父方面だ、と教えて頂いた。


掃出し窓で全開放できるというのが良い。腰高の窓が付いた部屋は他の宿に多いようだが、これだと布団に寝転びながら外を眺められる。横着して、枕元に澤乃井の日本酒瓶を置いて手酌しながら呑む。最高だ。


何年使い込んでいるのだろう。木製の一木造りの御櫃。割れて大きな裂目が生じているが問題なく使われている。こういう品一つをとっても御岳の宿坊の歴史を感じる。



風呂が気持ちが良い。温泉ではないが4人は余裕を持って入れる大きさで、谷に向けて眺望がある。夜よりも明るいうちに入浴して、開放感を満喫したい。


風呂後は18時45分の夕食まで部屋で夕涼みするのも良い。一面の掃出窓を開け放って部屋の中に風を取り込むとたいそう、心地が良い。


贅沢高価な食材は使わないけれども、新鮮な素材を丁寧に調理した料理の数々はとても満足させてくれるものだった。日の出山への稜線沿いの畑で御主人が作る野菜の数々。

刺身蒟蒻も自家製手作りの品なのだそうだが、柚子醤油に最高に合う。この刺身蒟蒻が売られているならば是非買って帰りたい。石灰を使わないのが拘りだそうだ。そのせいか、固く締まった蒟蒻ではないが、その食感も印象的。

豆腐のグラタンもなんともお腹に優しく子供が喜ぶ味。

蕎麦しんじょ。全体的にアレルギーさえなければ安心して食べられる健康的な食事で有難い。



夕食と朝食を頂く食堂は3年前に大雪で屋根が雨漏りした際に大規模修繕した箇所だそうで、夜には神奈川や東京の夜景を望めるのだが、朝は朝陽が眩しすぎてこの爽やかな青のシェードを降ろすことになる。


配膳を宿の女将の孫の女の子が甲斐甲斐しく手伝ってくれるのだがそれも微笑ましい。集落の少子化が進み、小学校は始発のケーブルカーで山を降り、バスで御岳駅まで乗り、さらに電車で二俣尾まで行くのだという。観光客がたまに遊びに来るには都心から近くて便利な田舎だけれども、住む人からするとやはり多くの不便と向かい合う生活なのだな。日が暮れたらコンビニは無い。その代わりに国立公園だし居住者の車しか許されてないので子供を道で遊ばせるのも安心だと話していた。平地と大きく異なる生活がここにはあり、それも御岳山の魅力のひとつ。


女将の気さくな人柄や、心のこもった手料理。参道の茶屋も含め値段はけして安いとは思わないが、それは山上の不便ゆえの価格なのだろう。すれた観光地対応を感じないところが御岳山の魅力かもな。


朝食も昼食が食べられないぐらいに充実したもの。デザートにトマトを丸ごと蜂蜜か何かで煮込んで冷やしたものが目新しかった。


朝食は8時半過ぎとかなりゆっくり。早朝から山歩きに出たい客には早めてくれるのだろうか。朝食を終えて部屋に戻ると布団は片付いていた。もう、ここは宿坊というよりは立派な民宿だ。客室数が少なくトイレが共同というだけで何不自由のしない宿だ。



道路向かいにこれまた古めかしい門構えの家屋があったのだが、そこに繋がれていたのは何度見ても南山荘の愛犬柴のリン。南山荘の入口に繋がれていた際には腹を撫でてくれとひっくり返って甘えてきた犬だ。こちらが南山荘の経営家族の生活住居らしい。ちなみにハクビシンを仕留めたり、狸やらを追い払ったりと番犬を立派に務めているそうだ。


ちなみに過去のブログに犬と泊まれると書かれているものがあるが、以前どうしてもと言われ広縁に犬を寝かせる条件で泊まってもらったこともあるらしいが、他の宿泊客を配慮して現在は断っているそうだ。これだけ犬連れが多いのだから犬も泊まれる宿坊があっても良さそうだ。


中野バス停から沢井へ川沿いの遊歩道を歩いて沢井駅まで歩けるらしい。30分程度なので次回は考えてみても良いかもな。


夜に星を見に長尾平へ。国立公園内ということもあり、基本的に街灯は無いのだそうだ。岐阜や長野の山奥ほとには望めないが、東京にいながら星空を眺めるには最適かもしれない。覚えておこう。