読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

シンガポールの肉林

仙人掌や多肉植物が見事な植物園を挙げるとしたらこれからはガーデンバイザベイを挙げる。「酒池肉林」という表現があるけれども、ここは正に多肉植物愛好家にとっての肉林天国なわけだ。
 

ガーデンバイザベイのドーム型温室植物園は二つが対になっている。一つは先に書いたクラウドマウンテン、もう一つがフラワードーム。

 
フラワードームの1階の広大なスペースは華で彩られ、ここで撮られた写真が紹介されていることも多い。綺麗だけど、さほど心動かされるものでもない。
 
白眉は2階の多肉植物尽くしだろう。ある意味、湿度も低く雨も降らない乾燥状態に整えられた環境というのはシンガポールでは貴重なのだろう。多肉植物が溶けて腐るような熱帯気候なんて愛好家には恐ろしすぎるが、そんなシンガポールに彼らは乾燥植物園を作ってしまったわけだ。

f:id:mangokyoto:20170116115814j:plain

シンガポールならではの派手さと、島国にもかかわらず大陸的な構想力でこの温室の多肉植物エリアも構成されている。

f:id:mangokyoto:20170116115904j:plain

樹齢100年は経ってそうな龍血樹や仙人掌。単体でしか観ることがない品種が群生していたりする。

f:id:mangokyoto:20170116115938j:plain

フォーカリアもここまで群れると面白い。葉の縁の鋸のような顎は単体で見るほうがその品種の個性が楽しめるとは思うが、群生が本来の姿ではある。

f:id:mangokyoto:20170116120019j:plain

宇宙錦も樹齢を重ねると葉よりも幹の存在感が際立ってきて別の植物のように見えてくる。

f:id:mangokyoto:20170116120113j:plain

老楽だろうか。節ができずに綺麗な柱状に育っている。雨にもうたれず、風もなく埃も付かないから棘は純白なままだ。

f:id:mangokyoto:20170116120153j:plain

樹状に育ったアロエ・ディコトマは愛好家の到達点ではなかろうか。それが林立するとは壮観。

f:id:mangokyoto:20170116120244j:plain

この巨大な塊根植物はコーデックスだろうか。アデニウムと見受けるがこれだけ大きく育っていると比較による品種特定も難しくなる。
 f:id:mangokyoto:20170117203836j:plain
こういうグリーンカーテンも面白い。

f:id:mangokyoto:20170117203905j:plain

品種名がわからんが、白い稜線が群生するとなんとも見事。

 

貴重な温室のこれだけのスペースを多肉植物に割くということは、設計者なり発案者と承認者の中に多肉愛に溢れた人がいたのだろう。シンガポールでも多肉植物愛好家は多いのだろうか。

 

調べてみるとシンガポール公園局が主体となって建設された国家プロジェクトで二つのガラスドーム温室の空調設備は日本の「大気社」という会社が受注施工している。ドームのうち1棟は高湿度のクール・モイスト空調を採用したドーム (0.8ha)、もう1棟は低湿度のクール・ドライ空調を採用したドーム(1.2ha)となっているとのこと。ガラスドームの外装カーテンウォール工事を施工したのは、YKK AP ファサード社。巨大で透明な建築物なのだが、1000パターンを超す6000枚の平面ガラスとアルミフレームで構成されているとのこと。ガーデンズ・バイ・ザ・ベイの照明を手掛けているのは、建築照明デザイナーの面出薫氏率いる株式会社ライティングプランナーズアソシエーツ。今の日本には優れた技術企業群があってもそれを統合して描き出す構想力に欠けるということなのかね。

 

総工費は10億シンガポールドルとも言われている。日本円で800億円。豊洲の新市場は6000億円が注ぎ込まれたと言われているし、オリンピック会場は1兆円を超えるなんて話を聞く。なんだか、あまりに投資が下手ではないのかね。クールジャパンなハイテクで伝統的で変態日本文化を融合体現したガラパゴスに突き詰めたものを1000億円づつ10施設作った方が観光経済への貢献度は高いのではないのか。全季節人工室内スキー場ザウスみたいなそういう破天荒なのを作って欲しい。

 

一人だけ興奮しきりだったが、ガーデンバイザベイのおかげで今回のシンガポール旅は満足度が高かった。今度、出張する機会があれば、夜のガーデンバイザベイを一人で訪れてみたい。時間を気にしないで一眼レフをお供にゆっくり、粘っこく多肉植物を愛でたい。