フランス企業探訪 職場あれこれ

某一企業の社内文化に対しての感想雑記であって、フランス企業全体に普遍化するつもりもないことを予め断っておく。
 
1日に5本近く会議が入っているが、開始が15分遅れ、終わりが15分遅れることの繰り返し。基本的に残り時間を見ながら話す内容をコントロールすることをしない。
 
忙しい中でわざわざ異なるオフィスにとある重役に会いに行ったのに、1時間の話合いを30分に減らされ、さらに時間を15分も過ぎて部屋に通された。軽く怒りを覚えるが、会ったって会わなくたって良い相手だと思って諦めた。

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昔からのフランス大企業の文化は入社したら定年するまで勤め上げる終身雇用。終身雇用は日本ならではの特徴ではない。入社したら定年まで約束された。それが自ら退職する人間も転職してくる人間も増えてきたのは時代の変化だという。まさかこの会社を自ら辞める人がいるなんて、という発想。フランス企業の労働組合はかなり強固で保守的でもある。
 
採用に至っては若者の失業率は25%と言われるフランス。文系職種ですら院卒が標準。理系職は院卒が当たり前、PhD持ちもザラでグランゼコールというエリート大学校卒だと扱いが段違いとなる。社会人歴が4年程度で30歳超えが多い。

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昔からの文化は役職の高さだけでなく、個人的ネットワークと情報量がその人の立場を決めるとのこと。合意は口頭でなされ明文化されない。
 
ヒエラルキーは強い。上には逆らわない。物事が明文化されないのは業務目標も同じで年度末評価は上司の胸三寸。日本よりタチが悪いのは部下の人事権を人事部ではなく上司が強く握っていること。
 
権謀術数というか、偉い人に対する他部署の貶めや、印象操作、不明瞭な意思決定の背景に苦しむのは日本人だけではなくフランス人も同じらしい。不本意な意見をぶつけられた時に、適切に上に申し開きや弁明ができなくてはならない。瞬発的なコミュニケーションの機知は重要。
 
フランス人はアメリカ人と異なり、不満や嫌悪感を表すことを厭わない。表面的なフレンドリーさや陽気さを装うアメリカ人を偽善的で嘘くさいと見ている節がある。わからんではない。アメリカ的な八方美人で陽気で友好的に装いつつも、真意は別にある方が陰湿といえば陰湿だ。大人気ないと感じることも多いが不満をわかりやすく表現するフランス人はこれはこれで助かる。

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上級管理職の男性は揃いも揃ってノーネクタイながら毎日スーツジャケット。階級色の強いフランスらしい。大きな会議ともなると、スーツの胸ポケットにハンカチーフを差し込むオシャレさんを散見する。敵わんな。
 
英語が母国語でないこともあり、メールでのやり取りは誤解も生じやすい。彼らから来るぶっきらぼう、高圧的、偉そうなメールも単に英語力が高くないだけで、会えば親切だったりする。
電話で話すほうが相手も安心する。
 
フランス人の同僚は総じて引っ込み思案が多い。話しかけられるのを待っている印象。フランス人が固まると、外国からの来客がいたとしてもフランス語で話してしまう。

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役職が上がってから会うと昔会った時よりも愛想が良くなっているのは気のせいか。

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フランスでは宮廷政治は大企業で受け継がれている。。。気がする。