唐津のような鉄絵を描けるようになりたくて練習を始めた。
てっきり弁柄を使うのかと思ったが、鬼板という鉄化合物のほうがムラが生じて面白いらしい。恥ずかしながら、全く聞いたことがないが昔は精製された弁柄は入手が難しく、鬼板のほうが普及していた時期もあるそうな。
取り敢えず、素焼きして放置されていた器を練習台に描いてみた。
濃淡をつけて表れ方の違いを見てみようかと思う。
運筆が下手すぎて線に勢いが出ない。絵付けは巧拙をあからさまにするから手を出すのが気が引けていたのだよね。
パキボディウムを描いてみた。
裏面。いきなり全体の下絵もなしに描いていったので構図のバランスがかなり悪い。斜めの空白にも四箇所、多肉植物を書き足そう。賑やかにすれば誤魔化せるかもしれない。多肉尽くしの多肉植木鉢の水受け皿。オブトゥーサ、四海波、鸞鳳玉、あと1つは玉椿にしようか。
描き込んでみたらこうなった。なんだか賑やかにまとまりがなくなってしまったが習作だし、ヨシとしよう。
釉薬は何を掛けるかが問題だ。
細い線をそのまま出すならば透明釉や青磁、辰砂など。唐津のように滲む様を楽しむならば白萩や月白か。
多肉絵付け皿には貫入青磁釉を掛けた。線が細いので透明で線が見えやすい釉薬にしておいた。
天目茶碗にはマンガン窯釉というものを筆で雑に塗った。適度に刷毛目によるムラが金属光沢となって出てくれたら成功。
こてこてな青海波と沙綾模様も鬼板で描いてみる。なんとも雑だな。窯の魔法で渋く滋味あふれる雰囲気に仕上がってくれないものか。ここに至って私が望んでいたのは下絵ではなく上絵による鬼板を滲ませる技法ではないかと疑問が湧いたがもう遅い。一通り下絵を焼いたら次回は上絵も焼いて比較したい。
裏面は瑞雲。こってりと厚塗りしてみた。厚みの違いを同じ器で比較してみる。熱くした箇所が滲んでくれないものか。
そしてこちらには藁灰白萩釉を掛けた。絵付けが全く消えてしまったらなかなかのショックだろう。
ちなみに世の中にはこのようなボーメ濃度を測れる濃度計というものがある。これがあれば先生不在でも釉薬の適正濃度を調整できる。
藁灰白萩釉は45程度、貫入青磁もかなり薄めの45程度、マンガン窯釉は55程度で掛けてみた。結果や如何に。
そういえば、陶芸教室の生徒の一人がトルコ青結晶釉を検索したら当ブログに行き着いて素性が割れてしまった。その生徒さんは九州に転勤で教室は今日が最後なのだそうだ。九州といえば有田焼や鍋島など陶芸天国。あちらの陶芸教室は勝手な推測だがレベルが高そうだ。人生、一度ぐらい九州にも住んでみたいものだ。